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逃げた女

監督:ホン・サンス
脚本:ホン・サンス
撮影:キム・スミン
録音:ソ・ジフン
編集:ホン・サンス
音楽:ホン・サンス
出演:キム・ミニ、ソ・ヨンファ、ソン・ソンミ、キム・セビョク、イ・ユンミ、クォン・ヘヒョ、シン・ソクホ、ハ・ソングク

2020年/韓国
日本公開日:2021年6月11日
カラー/ビスタ/5.1ch/77分
字幕:根本理恵
配給:ミモザフィルムズ
© 2019 Jeonwonsa Films Co.
2020年 ベルリン国際映画祭 銀熊賞(ホン・サンス)
2020年 サン・セバスチャン国際映画祭
 サバルテギ部門タバカレラ賞 スペシャルメンション
2020年 韓国映画評論家協会賞 FIPRESCI賞(ホン・サンス)
 The Best Film of the Year 賞
2020年 CINE21ムービーアワード
 作品賞/女優賞(キム・ミニ)


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本作のキム・ミニはとにかく、よく食べます。サンチュで巻いた焼肉、先輩が作ってくれたパスタ、映画館ではこっそりパンを食べ、かつての恋敵とはリンゴを。食べるシーンにも意味がありそう。

逃げた女(逃げた女/The Woman Who Ran)

story

 ガミ(キム・ミニ)は翻訳家の夫が出張中、郊外に住む先輩たちの家を訪れる。結婚して5年。毎日夫と一緒にいるガミにとって、夫と離れて過ごすのはこれが初めてだ。

 ガミはマッコリと上等の肉を持参してヨンスン先輩(ソ・ヨンファ)を訪ねる。離婚したばかりのヨンスンは郊外の丘の上にある家庭菜園付の広いマンションを購入していた。ルームメイトのヨンジ(イ・ユンミ)が肉を焼いてくれる。楽しい時間。そこへ、最近越してきた近所の男性(シン・ソクホ)がやってきた。妻が怖がるので、ノラ猫にエサをやらないで欲しいと頼みにきたのだ。だが、ヨンジは譲らなかった。翌朝、3人はお隣の家の鶏小屋を覗きに行く…。

 ピラティス講師で独身のスヨン(ソン・ソンミ)は、素敵なデザインのマンションに住んでいた。芸術家を好む家主が保証金を安くしてくれたという。窓からは仁王山が見えた。ガミはデザイナーブランドの服をスヨンにプレゼントする。スヨンは上の階に住む建築家に恋をしていた。芸術家が集まるカフェで知り合ったらしい。そこへ、若い詩人(ハ・ソングク)がやってくる。酔った勢いで1度だけ関係を持ったが、未練のある彼はしつこく訪ねてくるらしい…。

 ミニシアターがあるカルチャーセンターに立ち寄ったガミは、偶然、ウジン(キム・セビョク)と再会する。過去にある男をめぐって一悶着あった仲であり、ウジンはその男、今や売れっ子作家のチョン先生(クォン・ヘヒョ)と結婚していた。そして、その日は地下でブックコンサートが開かれていた。映画を観て帰ろうとしたガミは、裏口で煙草を吸っていたチョン先生と鉢合わせる…。

アジコのおすすめポイント:

今や公私ともにパートナーとなったホン・サンス監督とキム・ミニ主演による7作目の作品です。二人の関係をなぞるように様々なシチュエーションの作品が生まれてきましたが、本作ではキム・ミニが長い髪をバッサリとカットしてミニ・ソバージュで登場。主人公の変身願望を匂わせています。結婚以来「愛する人とはいつも一緒にいるべきだ」という夫と離れることなく、疑うこともおそらくなかった彼女は、訪問先で何度もその話をします。離婚したばかりの先輩、未婚の先輩、元カレと結婚したライバル、それぞれの生活圏に踏み入って覗き見をしながら、彼女たちの幸せとは言えない現実も目にしていきます。さて、最後に彼女がスクリーンに求めたのは、波の音なのか、それとも…。タイトルが示すように、様々な解釈ができる作品です。エピソードの合間に挟まれる山の風景も印象的。ホン・サンス監督の常連俳優たちによる極上のアンサンブルをお楽しみください。


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