中秋節の賑わい
2004年9月16日
香港の夏も少しずつ陰りを見せ始めたなあと、数々の月餅や里芋を見ていると感じます。夜もいく分涼しくなり、私の日課だった夜に散歩しながらアイス(!)も少なくなってきました。まだまだ暑いけれど、やはり秋なのですね。
この時期、ケーキショップやレストランなどでは、競うように月餅が売り出されます。スーパーやショッピング・モールでは大きな月餅フェアが開催され、試食しながら選べるコーナーも15日を境にたくさん増えてきます。これから農歴8月15日(新暦では9月29日)に向けて、さらに種類も増えてくるでしょう。
こちらで一般的に食べられるのは、蓮の餡に家鴨の黄卵の塩漬けを丸ごと2つも入れて焼き上げる「雙黄金蓮蓉月」や「雙黄純白蓮蓉月」。手に取るとずっしりと重く、食べると口の中にまったりと広がる胡麻の風味と独特の甘さ。一度食べたらもう一口と、癖になります。
また潮州月餅はご存知でしょうか。こちらはパイ生地に芋餡や小豆を使用しているものもあり、見た目も一般的な月餅とは違い甘みが更に強いです。香港では、九龍城にある「和記隆」が唯一の潮州式お菓子店で、結婚式饅頭なども扱っています。潮州では(だけではないのですが)、この中秋節、その昔は里芋の収穫を祝う、または里芋を食べる習慣があったと聞きました。その名残りをこちらでは忠実に受け継いでいるのでしょう。
この月餅。中秋節のお菓子となったいわれはというと、その昔、王朝打破を目指した有志たちが官憲に気づかれずに決行日(8月15日)を連絡する為に、月餅の中に手紙を忍ばせ、見事策略が成功したのをキッカケに、名誉菓子に抜擢されたのだとか。また、月には兎が住むとも言われますが、日本とは違い月の兎は餠をつくのではなく、不老不死の妙薬を作っていて、仙女の嫦娥(じょうが)と共に暮していると言われています。
中秋節前夜には、家族で一年の恵みを感謝しながら月餅を頂く習慣があります。そして中秋節ならではの果物は、スターアップルとドラゴンフルーツ、ざぼんも登場します。月餅はカロリーが高いので、気になる方は果物で語らうのもおすすめです。
|