面接、体力測定(?)、ダンスなどなど数回の審査を経て20名に絞られた候補者は、「準香港小姐」と称され、ここからは有名男性タレントを加えた海外ロケなどで数回の特番が放送されます。例年は南の島のリゾートでミュージックビデオを撮ったり、ゲームに挑戦したりという感じなのですが、今年は「美麗由心開始(美しさは心から始まる)」がテーマだったこともあり、ユニセフのオフィスでボランティアをしたり、南アジアの津波被災地を回ったりという企画もありました。
こうして特番やイベントでの候補者たちの行動や言動、表情などを審査の対象としながら、コンテストは決勝大会に進みます。決勝大会はもちろんTVBの生中継で、盆暮れ…ではなく国慶節(建国記念日)や旧正月の特番と同じぐらい大がかり、かつ華やかなステージが放送されます。
今年は、8月20日に香港コロシアムで2時間半、司会に陳百祥(ナット・チャン)、曾志偉(エリック・ツァン)、李克勤(ハッケン・リー)、梁榮忠(ジョーイ・リョン)らにぎやかな(というかうるさい…)顔ぶれ。そしてゲスト兼審査員に楊千[女華](ミリアム・ヨン)と陳奕迅(イーソン・チャン)、郭晉安(ロジャー・クォック)らを迎えて華々しく開催されました。
決勝大会の内容は、司会陣の意地悪な質問にいかに機転を利かせて答えられるかを競う「問答コーナー」や、ゲストを相手に名作映画や舞台の一節を演じる「寸劇コーナー」など。かつて、ミス香港決勝大会といえば視聴率50%とも言われていましたが、ここ数年は著しく視聴率が下がり、昨年は30%程度。今年も候補者に突出した人材がなく、決勝大会の内容もマンネリで視聴率が危ぶまれていましたが、TVBには幸いなことに、この日香港は警報が出るほどの大雨。多くの市民が外出を控えたこともあり、昨年と同程度の視聴率は確保したそうです。
今年のミス香港は、初期段階から有力候補の一人だった林翠翠(トレイシー・ラム)さん。しかし、彼女については整形疑惑をはじめ様々なゴシップが報じられており、またグランプリを獲得した後も、「審査員の採点集計では1位でなかった」などと不正を疑う報道もあったりと、例年になくお騒がせな香港小姐のようです。
それにしても理解できないのは、香港マスコミの報道姿勢。イベントのたびに「何番の誰々がどうした」と報じるのですが、それがまぁ「水着から肉がはみ出てた」「ヌーブラしてるのが透けて見えた」というのぞき見趣味的なものから、果ては「父親は○○公共団地の管理人」というプライバシー侵害(!?)なものまで、重箱の隅をつつくというか単なるあら探しというか、よくもそこまで…という下世話な話題ばかり。苛酷なマスコミ攻勢に、過去には自殺者も出たという話も聞きますが、たしかに常人ではちょっと耐えられない書かれっぷりです。
それでも、第一次審査から決勝までの3ヶ月間、TVBでは毎日ミス香港の話題を放送していますので、彼女たちの露出度たるや、並みのタレントなどはるかに及ばないほど。芸能人志望の女性なら、たとえ入賞できなくとも、これだけ名前と顔を売れば次につながるという目論みもあるのでしょう。
かつては確かに人気女優への登竜門でしたが、ここ数年はうまくいってもTVBドラマの主演どまりと「小粒化」が進むこのミス香港。今年の受賞者から未来の大女優が生まれるか? 興味のある方は是非、TVBの特集ページ2005年度香港小姐競選でチェックしてみてください。
●from 香港在住のMeijia:profile
日本を出て10年、香港在住7年目。スーツのビジネスマンより上半身裸(刺青入り)の男たちが多い工場街勤務。一度でいいから中環で働いてみたい!
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