憧れのスクリーン
デビューを果たした
−エディ・ポン(彭于晏)
「あすなろ白書」や「イルカが猫に恋をした」などの台湾ドラマで日本にも多くのファンを持つエディ・ポンは、アイドル俳優と言われてはいますが、実体はクロウト受けする若手俳優といったほうが実情にあっている、台湾ではそんな存在です。
そんなエディのスクリーンデビュー作『ウエスト・ゲートNo.6』と2作目の『DNAがアイ・ラブ・ユー』がそろって『台湾シネマ・コレクション2008』で上映され、エディも舞台挨拶のために来日。忙しい中、アジクロ読者の皆さんのためにと単独インタビューに応じてくれました。
「今日のテーマはドラマから映画の世界に飛び込んだエディです」と告げると「ワォ! どんどん聞いてね」とのっけからハイテンション。俳優としての話、デジタルムービーを撮った話など、エディらしい冗談を交えながらの楽しい取材となりました。
●たくさんの「はじめて」です
『ウエスト・ゲートNo.6』で台湾での長編映画に初出演しましたが、まず、出演依頼を受けてどんなふうに感じましたか?
エディ「すごくエキサイティング! 小さい頃から映画が大好きで、ずっといつか映画に出演したいって思ってんだ。でも、かなわずにいて、それが、2007年にリン・ユウシェン監督が僕にアプローチしてくれたんだ。で、よし、やるぞ!ということで、この作品が生まれたわけ」
じゃあ、出演依頼が来て、僕の演技が認められたと、そういう喜びがあった?
エディ「そう、そう。監督と話をしていて、新しい感覚で撮るんだっていう話になって『とにかく演技力のある役者で撮りたい』と、そんなふうに言われたんだから嬉しいよね。一生懸命頑張ったよ」
この映画は画面から現場の楽しさが伝わってくるようです。実際はいかがでしたか?
エディ「もうメチャクチャに楽しかった! リン監督は僕にとって兄貴のような存在で、ちゃんと僕らの話を聞く耳も持っているんだよ。こういう仕事をしていて思うんだけど、これってとても大事だよ」
たとえば?
エディ「特に演技について、たとえば僕がリン監督に『このカットには重要なセリフがあるから、アップで撮るの? だったら、僕は表情に集中して演じるほうがいいよね?』とかなるし、ロングショットならアクションとか自由にやらせてもらえるといいなと思う。リン監督はこういう細かい部分についても、ちゃんと僕らに応じてくれるんだ」
では、怒鳴ったりはしない優しい監督?
エディ「とても優しいね。怒る監督もいるかもしれないけど、このふたりの監督(『ウエスト・ゲートNo.6』のリン監督と『DNAがアイ・ラブ・ユー』のロビン・リー監督)はそんなことはしないよ。監督たちも新しい映像表現をいろいろと追求しているわけで、僕らと話をするのが好きなんだよね」
セリフの言い回しや動き、そういったものを含めて話し合って一緒に作っていく感じ?
エディ「撮影現場に入る前に、リン監督と僕ら俳優みんなで一緒に台本の読み合わせをするんだ。で、リン監督が『言いにくい? だったら、快適に演技できるように変えよう』って。本当にすごい気配りをする人だと思う。こうやってコミュニケーションをとって、それから撮影現場に入るから大体うまくいくよ」
初めての映画の撮影でいちばん印象に残ったのは何でしょう?
エディ「いろいろなことを初めて体験させてもらったんだ。たとえば、パンツを下ろしてお尻で花火をするなんて今までやったことないし、ビルからビルへジャンプするのもね。このときは、ワイヤーがなくて下にスポンジを敷いてやった。うまく飛べなかったら、今日ここ(=日本)に来れなかったよ。それから、マジックアワーと呼んでいる時間帯があって、これは朝5時半から6時までの30分間で、この時間帯の光を待って撮る、そういうことも初めて経験した。DJも初経験したし、スケボーも。それで転んで石にぶつかって怪我した(笑)。(日本語で)タクサンノ、ハジメテ、デス」
●映画にはいろんな演技の可能性がある
2作目の映画は『DNAがアイ・ラブ・ユー』ですね。ロビン・リー監督とはいかがでしたか?
エディ「おそらくどの監督も自分のスタイルや欲求があるわけで、僕らはどうやってコミュニケーションをとって理解しあうか、だよね。僕は、リー監督を姉さんって家族のように思っていて、ときどき甘えるんだ。『アップ撮ってよぉ』とかってね。『そう、じゃ、撮ろうか』って。こういうやりとりを通して本当に親しくなって、本当に家族みたいになった。
リン監督もリー監督も僕のことを大好きだって言ってくれる。よかったなって思うよ。リー監督はメルヘンチックな世界が好き。そこが彼女特有の部分でもあって、あまり形に囚われなくて自由自在に表現する、そういうところがいいと思う」
彼女のメルヘンの世界で演じるということで気をつけたことは?
エディ「やはり自分の立ち位置かな。僕はとにかく一生懸命やるけど、良くなかったときにはどうしたらいいのか、リー監督と打ち合わせる。僕としてはこうやったらいいのではないかって、リー監督が求めているもの以上のことを逆に提案することもあるよ。こうしたら面白くなって可愛いんじゃないかって説得するんだ。監督と共通の認識を持つことは大事だよね」(続きを読む)
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