ブロンドヘアになったルゥルゥ・チェン
(撮影:熊谷俊之/Toshiyuki Kumagai)
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世代は違っても
同じように迷い、
自分探しをしているという
キャラクターに惹かれた
−ルゥルゥ・チェン
(程予希)
5月28日より絶賛公開中の『若葉のころ』。母と娘の17歳の頃の初恋を同時進行で描き、それぞれの時代を背景に、大人と子どもの狭間で揺れ動く若者たちの純粋な心や衝動を切り取っています。さらには、すでに思い出になってしまった大人世代の心情や新たな展開もあり、様々な世代の心に響いているようです。
そんな本作で、主人公の女子高生と母親の女子高生時代を二役で演じ分け、見事な映画主演デビューを飾ったルゥルゥ・チェンの配給会社による公式インタビューが届きましたので、ご紹介します。
Q:本作出演のきっかけはオーディションですね?
ルゥルゥ「はい。まず脚本をもらい、読んだらぜひやりたい、この役を勝ち取りたいと思いました。二世代の物語というのに興味が沸き、バイもワン・レイも世代は違っても同じように迷い、自分探しをしているというキャラクターに惹かれました。二役というのはとてもチャレンジングですし、監督はとても厳しい方だと聞いていたのですが、これも挑戦だと思いました」
Q:初めての映画で主役、しかも現代の高校生バイとその母親ワン・レイの高校生時代という二役でプレッシャーも大きかったと思いますが、どのように役作りをしたのですか?
ルゥルゥ「私はいつも役作りをするときに、その役にあった曲を探してイメージします。バイは、ペニー・ダイ(戴佩[女尼])のバンドBuddha Jumpの「我對自己開了一槍」、ワン・レイの方はツァイ・チン(蔡琴)の「窗」を選びました。そして、今回はお母さん役のアリッサ・チアさんと一緒に高校生のワン・レイと40代になったワン・レイと歩き方や仕草などを共有できるように話し合いました。バイは比較的自分に近いものがあり、弱さを隠すために強がってみたりというのを意識しました。また、80年代の女性が何を考え、どう生活していたのかを知るために資料や情報を集めたり、高校時代の仲の良い友達と当時の思い出話をしました」
Q:監督の演出スタイルはどんな風だったのでしょうか?
ルゥルゥ「最初の話し合いの時の要求などは厳しく、監督の演出通りに演じないとダメだったのですが、だんだん信頼してもらえるようになってからは、自由に演じさせてもらえるようになりました。信頼を得るまではかなりたいへんで疲れましたね。監督は役から抜け出ることを許さず、休憩中でも役になりきっていてほしいと言われていました。でも、クランクアップしてみんなでご飯を食べた時は、それまでと一転して優しく思いやりのあるパパになりました(笑)」
Q:リッチー・レンとの共演はいかがでしたか?
ルゥルゥ「とても面倒見の良い方で、先輩後輩の区別なくフレンドリーです。だからみんなシャオチー(小齊)という愛称で呼んでいます。俳優同士だけでなくスタッフに対してもそうですし、監督を慰めたりして現場に安心感をもたらせてくれました」
(c)South of The Road Production House
Q:映画のモチーフになっているのがビージーズの曲「First Of May」ですが、台湾での映画のタイトルがこの曲名を中国語にした『五月一號』、日本では日本語の曲名を映画のタイトルにして『若葉のころ』になりました。この曲は、この映画出演の前に知っていましたか?
ルゥルゥ「はい、曲自体は知っていましたが、出演が決まって役作りを始めた時にオリジナルがビージーズだということを知りました。私はジャッキー・チュン(張學友)のバージョン*を聴いていましたので。こちらもとっても良いですよ」
Q:撮影中のエピソード、思い出深いことを聞かせて下さい。
ルゥルゥ「バイとジョンシューのホテルのシーンがクランクインして7日めだったので、まだあまり慣れていないため緊張していました。監督やスタッフがそのシーンの雰囲気作りをする中、監督の意向でお互いに別々の控え室で準備をして話し合うことなく、互いに役になりきってぶつかるという演技でした。ですから、ホテルを出た時のシーンでは彼の傷ついた気持ちと自分の受けた傷の大きさで泣き崩れるほど役に入り込んでいました」
Q:ルゥルゥさんは日本ととても縁が深いのですが、テレビドラマ「GTO」の時のEXILEのAKIRA、城田優らとの共演の感想を聞かせて下さい。
ルゥルゥ「城田さんとはからむシーンが少なかったのですが、現場はとても楽しかったです。AKIRAさんはとても面倒見の良い方で、みんなを食べ放題のお店に連れて行ってくれましたし、別の仕事でご一緒した時もご馳走になったり日本での生活について色々アドバイスしてくれました。また共演したいですね。そうそう、AKIRAさんは私に中国語で話しかけ、私が逆に日本語で話していたのですよ(笑)」
ベビーフェイルのルゥルゥだが、素顔は大人の女性
(撮影:熊谷俊之/Toshiyuki Kumagai)
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Q:そして2015年、マガジンハウスの雑誌「Hanako」の台湾特集の時にモデルとして登場していましたが、好きな店や場所も行きましたか?
ルゥルゥ「が好きなので、そこに行きました。日本時代の建築物が多く残っていて、私は古い文化や歴史、レトロな雰囲気が好きなので楽しかったです。いま、ちょっとしたブームで、映画やドラマの舞台になったり、観光客も増えています。お薦めの店は『mogu(磨姑)』というオリジナルの可愛いバッグや雑貨を売っているお店です」
Q:日本映画は好きですか?
ルゥルゥ「はい、とても好きでよく観ます。監督では岩井俊二、中島哲也、三谷幸喜が好きですね。中島哲也監督は『嫌われ松子の一生』から見始めたのですが、映像が美しくて人の内面の心理描写がとても上手だと思います。岩井俊二監督は女性の描き方が素晴らしく、作品の雰囲気が素敵ですね。最近台湾でも公開された『リップ・ヴァン・ウィンクルの花嫁』を見ました。ひと味違ってとてもおもしろかったです。三谷幸喜監督は題材が幅広く風刺が効いていて、『清洲会議』や『ステキな金縛り』が好きです」
Q:日本の観客の皆さんへおすすめポイントをお願いします。
ルゥルゥ「17才というのは特別な年で、大人になる一歩手前ですよね。この作品は、誰もが良いことも悪いことも含めてその頃を思い返すことができる映画です。ぜひ皆さんも特別な想い出を味わって下さい」
(取材:2016年3月 アクセスエー)
▼『若葉のころ』作品紹介
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