ムーンケーキの発祥地は広東。伝統的な図柄が彫られた木型に生地を入れて焼き上げるため、少し厚めで歯ごたえのある皮が特徴です。小豆やナツメの餡(西瓜の種、ハスの実なども混ぜる)に、月に見立てた塩漬けの卵黄が入っているものが伝統的な中身。ラードを使用しているため、非常に食べ応えのあるものとなっています。
マレーシアでは、従来の広東式と並んで、蘇洲式(何層にも重ねた薄いパイ皮のような皮が特徴)や、「氷皮」(Snow Skin)と呼ばれる柔らかい皮のものも人気です。また、イスラム教徒でも食べられるように、ラードを使用しないハラル式月餅があるのがマレーシアらしいところ。中身も南国風情が豊富なドリアン味のほか、チョコレート、ティラミスやドラゴンフルーツなど、バラエティに富んでいます。
また、中身にふさわしい風流なネーミングも楽しめます。「Snow Skin」と同様に、冷やして食べるムーンケーキ・ゼリーにも人気が集まっています。ただし、これら要冷蔵のものは、衣が柔らかくふんわりしており、ヤム芋、チーズ等の生ものが入っているので、早めに食べなければいけません。その他、健康を気遣う現代人の生活スタイルに合わせて、ローシュガー・タイプもあります。添加物を使用しないため、一定の期間保存するには砂糖が不可欠ですが、これらには砂糖の種類や分量のバランスなどの栄養成分が個別包装の上に表示されています。
様々な美しいパッケージも重要なセールスポイント。日本の伝統的な工芸品や食器を使用したもの、ダブルデッカー・タイプと呼ばれる二段重ねの木製の箱、布張りソフトタイプの木製ボックスや特別仕様の詰め合わせ用化粧箱(リングやネックレスがしっかり収納できる)など…豪華なパッケージを見ていると、中秋の目的は何?という疑問も湧いてきますが、それほどパッケージも進化しており、重要な要素となっているのでしょう。
さて、伝統を大切にし、故郷や家族を思い出させてくれ、味も形も心に残る、そして忘れちゃいけない遊び心にあふれたムーンケーキで、中秋の名月を過ごしてみてはいかがですか?
●from タン・シスターズ:profile
クアラルンプール在住の中国系マレーシアン姉(日本語歴8年)妹コンビ。マレーシアのいろんな様子をお伝えできればと思います。
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