送還日記(送還/Repatriation)
story
1992年の春。私(キム・ドンウォン)はある神父から、刑務所から出所はしたが身を寄せる所のない二人の老人を、私の住んでいるボンチョン洞に連れて来るよう頼まれた。非転向長期囚としての長い獄苦から解かれた二人の老人の名前はチョ・チャンソンとキム・ソッキョン。彼等は「北」から下りて来た「スパイ」だということだった。私は不慣れな彼らと好奇心に満ちて対面した。
同じ町に住みながら、私は彼らの日常をカメラに収める機会を得ることになる。特に私は、人情に篤いチョ・チャンソン老人と親しくなった。しかし、私の子供たちを孫のように可愛がってくれる彼の姿に情が移るのを感じながらも、元非転向長期囚たちが集った野遊会で「キム・イルソン讃歌」をはばかりなく歌う彼らを見て、やはり私には彼への拒否感が存在することを自覚した。
その後、チョ・チャンソン老人は、拷問に耐え切れず先に転向してしまった昔の同僚、チン・テユンとキム・ヨンシクに再会することになるが、その場に居合わせた私は、彼ら転向者が身に深く染み込んだ自愧の念の為に、肩身の狭い思いをしながら生きていることを知った。
ずっと彼らの生活を撮り続けていた私は、彼らを「北」に送還させる為の運動に協力したいと思うようになり、「北」にいる彼らの家族を撮影する計画を立てた。ところがこのような努力は「南」の当局の神経に触れることとなり、結局「北」行きは駄目になってしまった。さらに私は、当時大きな威力を振るっていた国家検閲制度を楯に取る「南」の当局により、許可なく映画の制作・販売を行ったということで逆に逮捕されるハメに陥った。
しかし幸いにも、私はこの事件をきっかけとして、長期囚出身の老人たちと一層親しい間柄となることができたのだった…。
●宣伝担当者のおすすめポイント:
「北のスパイ」と呼ばれた老人たちの真実の姿を12年かけて追い続け、韓国でNO.1ヒットを記録したドキュメンタリー。パク・チャヌク(『JSA』監督)、カン・ジェギュ(『シュリ』、『ブラザーフッド』監督)などが絶賛。センセーショナルなテーマを扱いながらも、そこに展開されるのはヒューマンドラマ。スパイも人間なんだ、という私たちが忘れがちな事実に気づかせてくれます。監督自身による素朴なナレーションにも泣かされます。
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