グエムル/漢江の怪物(怪物/The Host)
story
ソウルにある特殊機関から、ある有害物質が漢江に密かに遺棄された。数年後、釣り人が奇妙な形の稚魚を漢江で見つける。「気持ちのわるい形だなあ」稚魚はそのまま河に放たれた。そして、現在のソウル。漢江ではいつものように、人々が美しい河を眺めながら河川敷でくつろいでいた。
河岸で売店を営むパク・ヒボン(ピョン・ヒボン)の唯一の心配は、図体だけは立派な大人なのに店番も満足にできないほど、まったく頼りにならない長男カンドゥ(ソン・ガンホ)のことだった。しかし、そんなヒボンの憂鬱も、今年中学に入学したカンドゥの娘、ヒョンソ(コ・アソン)の顔を見れば、すぐに吹っ飛んでしまう。
祖父と父、アーチェリー選手として活躍している叔母のナムジュ(ペ・ドゥナ)、酒ぐせの悪い叔父のナミル(パク・ヘイル)の愛情を一身に受け、真っ直ぐに成長したヒョンソは、一家の希望の星であり、少々個性的過ぎる彼らをひとつにまとめる存在だった。
ヒボンに言われて、客にビールとつまみを配達しに土手へ出たカンドゥは、河にかかるジャムシル大橋を指差して騒ぐ人だかりの輪へ入っていく。今までに見たことのない奇妙な「何か」が橋からぶら下がり、うごめいているのだ。人々が携帯電話やデジタルカメラで写真を撮り始めた時、「それ」は突然、水中に姿を消すと、あっという間に土手から這いあがり、逃げ惑う人々を猛烈なスピードで襲いはじめた。
ヒョンソの手を握り、死に物狂いで逃げ出したカンドゥだが、人々の群れに飲み込まれ、ヒョンソとはぐれてしまう。気づいた時には遅かった! カンドゥの目の前で、正体不明の怪物(グエムル)が、その不気味に長い尻尾でヒョンソを捕らえ、漢江の深い水の中へと潜っていったのだ…。
●アジコのおすすめポイント:
単なる怪獣映画と思うなかれ。WETA社やオーファネージによる怪物の造型も素晴らしいのですが、その怪物と孤立無援で闘うことになる一家のドラマが秀逸。様々な圧力や妨害をものともせず、ひたすら娘の救出に全力を傾けます。最新兵器ではなくローテクの武器で挑む彼ら。真剣さの中に滑稽さもあり、真面目なドラマなのにユーモラス。決して重くありません。ポン・ジュノ監督ならではの諷刺も利いており、娯楽映画としてもアートフィルムとしても楽しめる作品です。
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