キムチを売る女(芒種/Grain In Ear)
story
中国北部のある田舎町。故郷から遠く離れ、樹木も育たない不毛の土地で、朝鮮族のチェ・スンヒ(リュ・ヨンフィ)は、線路沿いの粗末な家で息子チャンホ(キム・パク)と暮らしている。服役中の夫と別れ、母子2人でこの地に来たものの、スンヒはいつか故郷へ帰る日を夢見ていた。
三輪車を引きながらキムチの露天商で生計を立てる毎日。淡々と日々真面目に過ごすスンヒは、何人かの男と交流を深めていく。キム(ジュ・グァンヒョン)もその1人。朝鮮族同士という間柄で心を許し合うようになったが、彼は結婚しており、密会中の2人のもとに妻が押しかけてくる。妻の前で、キムはスンヒを娼婦だと偽り保身を計った。
スンヒは売春容疑で留置所に連行されるが、警察には顔見知りのワン警官(ワン・トンフィ)がいた。常連客の彼は、スンヒに露天の営業許可申請の世話をしてくれていた。かすかな希望を抱いたスンヒだったが、酒に酔った彼は彼女を逃がす代わりに肉体関係を強要する。
出会った男たちは、親切な仮面の下でスンヒを欲望の対象としか見ていなかった。スンヒは息子と故郷へ帰ろうと思いはじめるのだが…。
●アジコのおすすめポイント:
舞台は中国の田舎町。セリフも大半が北京語で、韓国映画というよりも中国映画の雰囲気を漂わせています。主演のリュ・ヨンフィはちょっとマギー・チャン似。中国に流れ着いた朝鮮族の女が、息子のためにしたたかに生きる姿を、女の弱さや業も絡めながらリアルに演じます。音・映像・色…と、映画製作のキャリアが浅いにも関わらず、独特の表現で描くチャン・リュルの世界は、荒削りながらも強烈な個性を放っています。
▼公式サイト 閉じる
|