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モン族の少女/パオの物語

監督・脚本:ゴー・クアン・ハーイ
原作:ドー・ビック・トゥイ「石垣越しのモン笛の音」
撮影:コーデリア・ベレスフォード
編集:トニー・ノートン、トゥー・チャン
音楽:グエン・ティエン・ダオ
キャスト:ドー・ティ・ハーイ・イエン/グエン・ニュー・クイン/ドー・ホア・トゥイ/リー・タイン・カー/グエン・テー・ホアン/チャン・ドアン・チュアン

2006年/ベトナム
日本公開日/2007年7月28日
カラー/ヴィスタサイズ/ドルビーSRD-EX/97分
配給:ダゲレオ出版
2006年 ベトナム・ゴールデンカイト賞 最優秀作品賞
 最優秀主演女優賞(ドー・ティ・ハーイ・イエン)
 最優秀助演女優賞(グエン・ニュー・クイン)
 最優秀撮影賞(コーデリア・ベレスフォード)


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モン族の少女/パオの物語(Chuyen Cua Pao)

story

 ベトナム北部の山岳地帯に住む少数民族モン族の少女、パオ(ドー・ティ・ハーイ・イエン)。パオは父、母、弟と、先祖代々受け継がれている家で暮らしている。パオはやさしい母キア(グエン・ニュー・クイン)が大好きだった。その日、市場から戻ると、家には誰もいなかった。なかなか戻らない母のことが心配になり、探しに出たパオは、河原の岩の上に置かれた母の持ち物を見つける。その後、村人が総出で川を捜索。キアのスカートが見つかったところで、捜索は打ち切られ、キアの弔いが行われた。

 それ以来、パオの父(リー・タイン・カー)は酒浸りになり、目に見えて体が弱っていった。そして、うわ言のようにシム(ドー・ホア・トゥイ)のことを口に出すようになった。聞きたくない名前だったが、パオは父のために、シムを探しに行く決意をする。それは、パオの実の母親だった。父と母は愛しあっていたが、子どもに恵まれず、ある日、出稼ぎ先から連れて着た女がシムだった。そしてシムはパオと弟を産んだが、子どもたちはキアに育てられ、居場所をなくしたシムは身を引いたのだった。

 遠く離れた街へ向うバスの中で、パオはいろいろなことを思い出していた。幼い頃のこと。母との思い出。そして、母がいなくなった日に、市場で見かけた初恋の人チュー(チャン・ドアン・チュアン)のことを…。パオは市場で笛を吹くチューに心惹かれ、こっそりと眺めていた。チューもパオの視線に気づき、彼女の家の前で笛を吹くようになる。そして、二人は互いに思いを告げ、愛しあうようになった。

 ある日、パオはキアにチューの家に行くと偽り、二人で春祭りを見るために、泊まりがけで遠くの街へ出かける。愛を確かめあった翌日、パオとチューは賑やかな街の市場で幸せに過ごしていた。そして、食堂に入った時、パオは思いがけない光景を見て動揺する。晴れ着を着た母が、見知らぬ男と華やいだ笑顔で話していたのだ。パオは急いで立ち去ると、チューの家で父親に挨拶をしてから帰宅する。家に着いたパオは、母を問いただすのだが…。

●アジコのおすすめポイント:

ベトナム北部のモン族とは中国の苗族に近い民族だとか。伝統を守りながら暮らすパオたちの生活や、古い民家、豊かな自然…と、ゆったりした風景の中で、人間の性や業が浮き彫りになるようなドラマが展開します。それは冒頭のシーンから見てとれます。後半は驚きの連続ですが、これは実話に基づいた物語。強くたくましく生きて行く女性にエールを送りたくなる作品です。エンドロールの後で、モデルとなったご本人たちが登場し、その後の続き話もわかりますので、最後までご覧になることをお勧めします。

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