オフサイド・ガールズ(Offside)
story
サッカーはイランの国民的スポーツ。男性だけでなく、女性もサッカーが大好きだ。だが、女性がスタジアムで男性のスポーツを観戦することは、法律で禁止されている。女性たちは、家でテレビ観戦をするしかなかった。
今日の試合は、ワールドカップ出場がかかった大事な一戦だ。大騒ぎのサポーターたちを乗せたスタジアム行きのバスが列をなし、その中に、ひっそりと座っている青年…いや、少女がいた。彼女はどうしても、スタジアムでサッカー観戦がしたくて、男装してバスに乗り込んでいたのだ。
男から見れば一目でわかる変装だったが、気持ちはわかる。同乗していたサポーターの中には、面倒が嫌で無視する者もいれば、守ってやろうとする若者もいたが、彼女は頑に群れから離れていた。なんとかスタジアムに辿り着き、法外な値段でダフ屋からチケットを買ったものの、入場チェックはきびしく、彼女はゲートで捕まってしまう。
連れて行かれたのは、スタジアムの外の一角にある仮設の留置場。そこには、彼女だけでなく、男装して捕まった少女たちがいた。どう見ても男の子みたいな子までいる。壁の向こうからは、始まった試合の歓声が聞こえ、少女たちはせめて実況中継して欲しいと兵士に頼み込む。
トイレを我慢していた少女は、スタジアムの中の男性トイレの使用が許され、女とわからないように顔にポスターをつけさせられる。兵士の監視のもとでトイレに入った彼女は、他の観客たちと兵士が一悶着を起こしているすきに、スタジアムの中へ逃走するのだが…。
●アジコのおすすめポイント:
日本では想像もつかないようなことが、外国にはあるんですねえ。しかも理由が「男たちが興奮して汚い言葉を吐くから」とは。トイレの落書きも見てはいけない、などなど…女性が守られているのか、差別されているのかわかりませんが、当の男性たちもはっきりとした理由はわからないようです(笑)。そんな風に、問題がユーモラスに描かれているところが秀逸。兵士たちの事情も垣間見えて、そちらにも同情します。少女たちがいきいきしていて、とても素人とは思えません。彼女たちが法律を変えていけるとよいですが。
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