シークレット・サンシャイン
(密陽/Secret Sunshine)
story
地方都市ミリャン(密陽)の入口近くで、1台の車が立ち往生していた。レッカー車を待つ女の名はシネ(チョン・ドヨン)。ソウルから幼い息子ジュン(ソン・ジョンヨプ)を連れて、亡くなった夫の故郷で再出発しようと引越してきたのだ。ほどなく、地元で自動車修理工場を営むジョンチャン(ソン・ガンホ)がやって来る。二人の会話は噛み合わなかったが、38歳独身のジョンチャンは彼女に好意を抱く。
シネは商店街にピアノ教室を開き、近所の洋品店の女主人や薬局の夫婦、ジュンが通う弁論教室の先生たちと知り合う。周囲に同情されまいと気丈にふるまい、街の人々に溶け込もうとするが、どこかぎこちない。最初に親切にしてもらったジョンチャンを訪ね、投資物件の土地を探していると話すと、彼は喜んで彼女を案内し、なにかにつけ彼女の世話を焼いた。だが、シネは亡くなった夫と息子だけを愛していて、彼には関心がなかった。
やがて、悲劇が訪れる。ある夜、帰宅するとジュンの姿が見あたらないのだ。何者かからの脅迫電話でジュンが誘拐されたことを知ったシネは、大きく動揺する。ジュンを取り戻したい一心で犯人の要求を受け入れた彼女は、銀行で全財産を引き下ろし指定された場所へ届ける。しかし、ジュンは帰って来なかった。
河原でジュンの死体が発見され、すぐに犯人も逮捕される。それはシネもよく知っている意外な人物だった。彼女が周囲の人に同情されまいと見栄をはり、資産家のようにふるまったのを真に受けて犯行に及んだのだ。心に大きな穴のあいたシネは、涙さえ乾ききっていた。布教活動に熱心な薬局夫婦に薦められても、シネは神が信じられなかった。が、ある日、教会へさまよい込んだのをきっかけに、宗教活動にのめり込んでいく…。
●アジコのおすすめポイント:
大きな試練に見舞われたとき、人間はいかにしてそれを乗り越え、どうやって生きていくのだろうか? 人が幸せになるために必要なものとは…?などなど、深く考えさせられる物語です。なかなか思い通りにならない人生でも、ちょっと見方や角度を変えてみれば、それまで見えていなかった救いがあるのかもしれない、とも思わせる作品です。感情の起伏が大きく揺れ動く主人公を演じるチョン・ドヨンが、女優賞を総なめしたのもなるほどと思わせる迫真の演技を見せます。彼女をやさしく見守る男役のソン・ガンホもまた、いい味を出しています。主人公の心に寄り添いながら、じっくりと味わってください。
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