天使の眼、野獣の街(跟蹤/Eye In The Sky)
story
香港警察の刑事情報課・監視班。それは警察内の精鋭たちによって組織された、犯罪容疑者たちの監視と追跡を専門に行う特殊捜査班だ。新人の女性警官ホー(ケイト・ツィ)は、街中での実地訓練に合格。監視班の一員となり、「犬頭(ガウタウ)」と呼ばれるリーダー、ウォン(サイモン・ヤム)の元で厳しく指導される。彼女に付けられたコードネームは「子ブタ」だった。
その頃、謎の強盗団による宝石店強盗が頻発していた。一味のリーダーで用心深いチャン(レオン・カーファイ)は、犯行現場には立ち会わず、常にビルの屋上から全体を監視し、携帯電話で部下たちを動かしていた。行動情報分析班は、犯行現場と周辺の監視カメラに写っていた映像を分析し、一味の一人と思われる太った男の存在を確認。その「ファットマン」(ラム・シュー)を探し出すため、監視班は総動員で張り込みを開始する。
真夜中、コンビニに現れたファットマンを見かけたホーは、彼を追跡して潜伏先を発見する。監視カメラやゴミの分析から、一味の全貌が洗い出され、7名の容疑者と次の計画の様子も明らかになるが、捜査陣は一味の背後にもう一人のリーダー「影の男」が存在することにも気づいていた。そして犯行当日、現場を押さえるべく攻撃班が秘かに包囲する中、その計画は突然中止される。
攻撃班が逃走した一味の車を追い、銃撃戦の末、携帯電話を押収する。監視班は逆探知で「影の男」の居場所を突き止め、ホーはウォンと共に「影の男」を追うのだが…。
●アジコのおすすめポイント:
ジョニー・トー監督の右腕として脚本を書いていたヤウ・ナイホイが、トー監督の製作で撮りあげた見事な監督デビュー作です。トー作品の持つ濃密な緊張感といったテイストを踏襲しつつ、細かい編集やスピーディなカメラワークなど、独自の世界観で突き進むところはウォン・カーウァイにも似て、新たな才能の登場を感じさせます。「監視・追跡」という一見地味な仕事をここまで凝縮させて見せ、ハラハラドキドキさせながら、新米女性警官の成長物語にしているところもうまい。童顔なケイト・ツィがスッピンでコギャルに扮しているのも好感度大。その上司を演じるサイモン・ヤムは、いつものダンディさを隠し、お腹の出たさえない親父に変身しています。レオン・カーファイが率いる強盗団の内情もよく描かれており、どちら側にも感情移入できるでしょう。常連、ガイ・ゼラファの音楽も秀逸です。
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