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四川のうた

監督:ジャ・ジャンクー
脚本:ツァイ・ヨンミン、ジャ・ジャンクー
撮影:ユー・リクウァイ、ワン・ユー
編集:リン・シュウドン、コン・ジンレイ
音楽:半野喜弘、リン・チャン
美術:リュウ・チァン
出演:ジョアン・チェン、リュイ・リーピン、チャオ・タオ、チェン・ジェンビン、工場労働者の人々

2008年/中・日
日本公開日/2009年4月18日
カラー/1:1.85/ドルビーSRD/112分
配給:ビターズ・エンド、オフィス北野
2008年 カンヌ国際映画祭 コンペティション部門参加作品


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四川のうた(二十四城記/24 City)

story

 2007年、中国四川省・成都。1958年に設立された「420工場」が、今まさに50年あまりにわたる歴史に幕を閉じようとしている。工場内のホールには大勢の労働者たちが集まり、工場の跡地を土地開発企業に引き渡す式典が開催されていた。

 かつて「420工場」で働いていた労働者たちが、それぞれの思い出を語り始める。

 1964年、飛行機のエンジンを作る軍の工場だと聞いて420工場にやって来たフー・シークンは、先輩ワンとの思い出を語り、忙しくて長い間会っていなかったワンを訪ねる。かつて東北地方にあった工場の移転を請負った111工場出身のグァン・フォンジョウは、当時の状況を語る。1958年に両親と共に瀋陽からやって来たホウ・リィジュンは、両親と祖父母の思い出と、リストラされた時の話をする。

 機密工場だったため待遇が良かったと語るハオ・ダーリー(リュイ・リーピン)は、1958年に夫と子どもと共に船で成都へやって来たが、停泊した町で子供を見失っていた。工場専属の学校で育ったソン・ウェイドン(チェン・ジェンビン)は、日本のドラマ「赤い疑惑」が流行っていた頃の初恋を語る。1978年に上海からやって来たグゥ・ミンホァ(ジョアン・チェン)は、職場の花と呼ばれる人気者だったが今も独身。今は工場の劇団メンバーだ。

 16歳で初めて成都を離れ、吉林の学校に通ったチャオ・ガンは、実習で着た制服に違和感を覚え、今はニュースキャスターとなっている。香港と行き来しているバイヤーのスー・ナー(チャオ・タオ)は久しぶりに家に戻り、工場で働く両親のために、工場の跡地に建つ高層マンション「二十四城」の部屋を買ってみせる、と力強く語る。

●アジコのおすすめポイント:

土地開発のため、50年の歴史を閉じることになった国営工場で働いていた人々の「語り」で綴られる作品。語り部たちの人生が、それぞれの時代背景とともに浮かび上がり、時代の流れを感じさせます。「赤い疑惑」や「外の世界」など、音楽の使い方も効果的。俳優たちが演じる役柄も、実在の人物像を重ね合わせたものなので違和感がありません。工場でカメラに納まる人々の静止画のようなカットは、橋口譲二の写真にも似て、敬意を込めた暖かい眼差しが感じられます。

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