ウォーロード/男たちの誓い
(投名状/The Warlords)
story
時は19世紀、清朝末期。アヘン戦争で消耗し、腐敗した清王朝の圧政下、国民の苦しみが、太平天国の乱を引き起こした。清軍は退却を繰り返し、北京の防衛さえ危ぶまれた時、清朝軍大臣ディー(ワン・フイウィン)は身分不問で民兵を募った。山賊、匪賊、ありとあらゆる人種が清軍に参加、中でも悪名高いのはホー・クイ将軍(シー・シャオチー)率いる魁軍だ。10年以上に及ぶ内戦の混乱の中、5000万人もの人々が飢餓や戦いによって命を落とした。
3日3晩の太平軍との戦闘で、味方の兵士1600人をすべて失った清将軍のパン・チンユン(ジェット・リー)は、失意のうちに荒野を彷徨っていた時、運命の女リィエン(シュー・ジンレイ)と出会い、一夜を共にする。差し出されたお粥のお陰か、彼女の温もりそのものか…彼は生きている実感を取り戻す。
翌朝、目が覚めると女は姿を消していた。食料を求め、街を訪れたパンは、チャン・ウーヤン(金城武)と出逢う。清軍卸したての立派な靴を履き、見事な武術に惹かれたウーヤンは、パンを自分の村へと誘う。その日、ツァオ・アルフ(アンディ・ラウ)もまた、いつもの襲撃から村へ戻って来た。ウーヤンの思惑に反し、アルフは「俺は盗賊で、おぬしは官兵だ」とパンを拒絶する。一方、パンは運命の女リィエンがアルフの妻だと知り、ショックを受けていた。
その晩、アルフの村はホー・クイ軍の略奪に合い、犬同然の扱いを受ける。屈辱的な扱いに、アルフは仲間の為に清軍に入る事を決意する。軍に入れば、俸禄で家族を養え、武器を持つ事もできるし、村も平和になる。こうして、パン、アルフ、ウーヤンの3人は、洞窟で投名状による義兄弟の契りを結ぶ。それは「生死を託し助け合い、不幸も苦難も共に乗り越える。義兄弟を傷つけし者には必ずや死を。その者が義兄弟であれ、必ずや死を。天地山河にこれを誓う。裏切りには天誅を」というものだった。
●アジコのおすすめポイント:
名匠ピーター・チャンが初めて挑んだ時代劇大作。それは義兄弟の物語。そのベースとなっているのは、1870年に実際に起こった暗殺事件です。この清朝末期の謎の暗殺事件は、73年にチャン・チェー監督の手で『ブラッド・ブラザース/刺馬』として映画化され、さらにジョン・ウー監督の作品にも影響を与え、その源流はつい最近のアレクシ・タン監督による『ブラッド・ブラザーズ/天堂口』へと続いています。固い契りで結ばれたはずの3人が、なぜ散り散りになってしまったのか? そこへ至るまでのドラマが大きな見所。戦いのシーンも多く、男くさい映画ですが、主演3人のキャラクターが見事にはまっており、それぞれの持ち味と演技が光ります。特に、ジェット・リーが腹に一物を隠し持つ複雑な役柄を好演しており、主演男優賞も納得。この後に孔明役を飄々と演じた金城君も、本作ではかなり男っぽい演技を見せてくれます。助演陣にもご注目を。
|