ミウの歌/Love of Siam(Rak haeng Siam)
story
ミウ(少年時代)はお婆ちゃんと2人暮し。近所に住んでいるトン(少年時代)は、両親と姉テン(チャーマーン・ブンヤサック)との4人家族。ある日、ミウが学校でいじめられていたのをトンが助け、2人は無二の親友になる。いつも一緒に遊んだり、困った時は助け合ったり。しかし、姉テンの失踪を機に、トンの家は引越していってしまう。
高校3年になったミウ(ウィウィシット・ヒランヤウォンクン)は、同級生たちと「オーガスト」というバンドを組み、作曲とリードボーカルを担当。プロの音楽事務所と契約し、デビューを目指して練習に励んでいた。一方、トン(マリオ・マウラー)には美人の彼女ドーナツ(アティチャー・ポンシンピパット)がいたが、あまりうまくいっていなかった。そんなある日、若者が集まる街、サイアム・スクエアでミウとトンは偶然再会する。
トンの家族は姉の失踪の影を引いていて、ずっとぎくしゃくしていた。トンの父(ソンシット・ルンノップクンシー)は自分を責め、アルコールで紛らわす日々。母(シンジャイ・プレンパーニット)がひとりで頑張っているものの、もはや限界状態だった。一方ミウは、お婆ちゃんを亡くし、ずっとひとりで暮らし。バンド活動はそれなりに楽しいが、心のどこかにいつも孤独感があった。ミウとトン、お互いの気持ちを理解できる2人は、互いに重要な存在になる。
音楽事務所の社長から、ラブソングを書くように言われたミウ。彼に思いを寄せる幼なじみのイン(ガンヤー・ラッタナペット)が、冗談半分で彼女になってもいいと迫るが、悩んだミウの心に浮かんだのはトンだった。その頃、父の様子を心配したトンは、オーガストの面倒をみている音楽事務所のジュン(チャーマーン・ブンヤサック役)が、姉のテンにそっくりなことに驚き、父を救うために、テンの身代わりを頼んでいた。
ジュンのおかげで元気を取り戻したトンの父が、パーティを開く。ミウはそこで新曲を披露して思いを伝え、トンは素直に喜ぶ。その夜、幸せな気分に浸るミウとトンだったが、それは深い友情なのか、それとも恋なのか…。
●アジコのおすすめポイント:
『レベル・サーティーン』を観た時から、ただ者ではない!と思っていたタイの若手監督チューキアット・サックウィーラクンが、こんなにも胸キュンでピュアな青春映画を作るとは! しかも『レベル・サーティーン』は本作を作るための布石だったとか。そんな本作はタイで現象を起すほどの大ヒットに。これが初演技という主演2人もみずみずしく、台湾映画ばりの淡いボーイズ・ラブを展開。それだけでなく、喪失感や孤独といった家族問題を克明に描き、心の傷や乾き、そして様々な愛の様相を見せてくれます。ノーカット178分版(もあるらしい)も観てみたいくらいです。
*08年のアジアフォーカス福岡映画祭と09年の大阪アジアン映画祭では『サイアム・スクエア』のタイトルで上映されています。関東初上映!
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