九月に降る風(九降風/Winds of September)
story
1997年夏。高校卒業式の朝、タン(チャン・チエ)は1年前の夏の出来事を独り静かに振り返っていた。かけがえのない友たちとの思い出を…。
新学年が始まる9月。タンと彼の仲間たちは、市営野球場で、台湾プロ野球界の人気スター、寥敏雄(リャオ・ミンシュン)に声援を送っていた。タンの仲間は、同級生のイェン(リディアン・ヴォーン)とチンチャオ(リン・チータイ)、落第生で最年長のヤオシン(ワン・ポーチエ)と彼と同じ2年生のポーチュー(シェン・ウェイニエン)、入学したばかりの1年生チーション(チウ・イーチェン)とチョンハン(リー・ユエチェン)。
7人はいつも冗談を言いあいながらつるみ、夜になるとポケベルで連絡を取りあい、全員集合して学校のプールに忍び込み全裸で泳いだり…。騒動を起こしては教官室に呼び出される常連でもあった。グループの中心は、大胆不敵で男気にあふれるイェンだ。生真面目な優等生のタンは、そんな親友の振る舞いを羨望と嫉妬の眼差しで見つめていた。
一方、1年生のペイシン(チー・ペイホイ)は、チーションとチョンハンを不良グループから脱け出させるため、ブラスバンド部に入部させようとしていた。彼女は秘かにチーションに淡い恋心を寄せているのだが、そんな彼女の気持ちをチーションが知る由もなかった。そして、ペイシンの先輩ユン(ジェニファー・チュウ)は、恋人のイェンを純粋に思いながらも、彼の浮気の噂に悩んでいた。
イェンの数学の家庭教師をしているタンは、イェンをかばいつつ、ユンのナイーヴさにも心魅かれていた。そんな時、ビリヤード場でイェンと間違えられたタンは、イェンがナンパしたモンルン(リウ・ピンイェン)の恋人(クー・ユールン)からガラス瓶で頭を殴られる。騒動の後に合流したイェンの態度に反感がつのったタンは、その夜以来、仲間たちと距離を置くようになるのだが…。
●アジコのおすすめポイント:
ハイティーンの青春ドラマに秀作の多い台湾から、またまたみずみずしい作品が誕生しました。舞台は1996年、季節風(九降風)の町・新竹。ちょっと昔の高校生たちですが、ポケベルやビデオルームなど、自分の高校時代を思い出す方も多いのでは? 男子7人のキャラクターもそれぞれ明確で、皆、役柄にはまっています。若い頃の絆は固くもあり、危うくて儚くもあり…いろんな出来事に遭遇して、ぶつかりあい、暖めあい、少しずつ成長していく姿が丁寧に描かれています。ラストに流れる今は亡きチャン・ユーシェン(張雨生)の美しい歌声が、深い余韻を残すでしょう。
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