プール(Pool)
story
タイ、チェンマイの郊外にあるゲストハウス。庭にはプライベート・プールがあり、10歳の少年ビー(シッティチャイ・コンピラ)が水をかき混ぜている。ゲストハウスで働く京子(小林聡美)は、ご馳走を用意しようとしていた。今日は、日本にいる娘が初めて訪ねて来る特別な日なのだ。京子はビーのリクエストでちらし寿司を作る。
大学の卒業を目前に控えたさよ(伽奈)は、4年前に自分を祖母にあずけたまま日本を去った母を、卒業旅行で訪れようとしていた。一人、チェンマイ国際空港に降り立つと、迎えに現れたのは母ではなく、母の仕事を手伝う市尾(加瀬亮)だった。
途中に立ち寄った寺院で、近所に住むオーナーの菊子(もたいまさこ)とも合流し、ゲストハウスに到着すると、母はタイ人の少年と共に夕食の用意して待っていた。4年ぶりの再会を喜ぶ京子だったが、さよはビーの存在が気になり、疲れたからと夕食もとらずに寝てしまう。
翌朝、目覚めたさよは、京子と一緒に朝食を作って食べる。ビーは菊子が拾ってきた孤児で、市尾と一緒に暮しているという。プールサイドでは、市尾とビーが大きなコムローイを作っていた。さよは自分が大人気なかったことを反省しつつも、彼らと楽しそうに暮している母を素直に受け入れることができず、戸惑いを感じていた。
ビーは行方不明の母親に会いたがっていた。市尾は母親探しを手伝っているが、なかなかうまくいかない。一方、捨てられたイヌやネコをたくさん育てている菊子は、余命半年と宣告されていたが、もう3年も生きていた。それぞれ何かを抱えながら、自然体で生きている人々と触れあううちに、さよは次第に心が開いていくのを感じる。
そんな4日目の夜。京子と2人きりになったさよは、前から気になっていた疑問を母にぶつけるのだが…。
●アジコのおすすめポイント:
タイのゲストハウスを舞台に、離れて暮している母と娘の再会を軸にして、そこで暮す人々との出会いをゆったりと穏やかに描いた作品です。東南アジアを旅したことのある人には懐かしくもあり、心地のよい風景が広がっていますが、これはあくまでも借景。違和感を感じる方もいるかもしれません。リアルというよりはファンタジー。見方によってはバリでも沖縄でも、北海道でもいいのですが、小林聡美扮する京子の心が動いた場所が、たまたまタイだったということでしょう。映画の中で小林聡美がギターを弾きながら歌を披露しますが、なんと作詞・作曲まで手がけています。しかも、その歌がけっこう上手!こんな才能もあったとは! 食いしん坊的には、ビーのおやつで登場する「バナナのフリッター」がツボ。アジアではポピュラーなスナックですが、アツアツの揚げたてを食べる時にサクサクといい音がして、思わず食べたくなりました。
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