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空気人形

監督:是枝裕和
原作:業田良家「ゴーダ哲学堂 空気人形」
   (小学館ビッグコミックススペシャル刊)
脚本:是枝裕和
撮影:リー・ピンビン
編集:是枝裕和
美術:種田陽平
音楽:world’s end girlfriend
出演:ペ・ドゥナ、ARATA、板尾創路、オダギリ ジョー、高橋昌也、余貴美子、岩松了、星野真里、寺島進、富司純子

2009年/日本
日本公開日/2009年9月26日
カラー/ヴィスタサイズ/ドルビーSR/116分/R-15
配給:アスミック・エース
(c) 2009 業田良家/小学館/『空気人形』製作委員会
写真/瀧本幹也

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空気人形(Air Doll)

story

 川沿いの寂しげで小さな町、古びたアパートで持ち主である秀雄(板尾創路)と暮らす空気人形(ペ・ドゥナ)は、型遅れで空っぽの「代用品」。秀雄は食事を2人分用意し、夜になると人形と一緒に風呂に入り、ベッドでプラネタリウムを見ながら語りかけ、セックスをする。

 雨上がりのある朝、人形は一度だけ瞬きをした。秀雄が出かけると、半透明の身体に日差しを受けて、ゆっくりと立ち上がり、少しずつ窓際へと向かう。初めて見る外の世界は美しく、人形に笑みがこぼれる。クローゼットを開け鏡に映る自分の姿を不思議そうに見ながら、洋服を次々に着てみる。メイド服を着て、おぼつかない足取りで町にでた空気人形は、いろいろな人に出会っていく。

 その日、人形が最後に出会ったのは、レンタルビデオ店で働く純一(ARATA)だった。カウンター越しに目が合う二人。レンタルビデオ店でアルバイトを始めた空気人形は、純一の心の中にどこか自分と同じ空虚感を感じつつ、日に日に惹かれていく。ある日、店長(岩松了)が人形に質問した。「彼氏、いるの?」「いいえ…」心を持った人形は、生まれて初めて嘘をついた。

 少しずつ純一から映画の知識を得、仕事にも慣れてきたある日、人形は棚から飛び出したクギに手をひっかけてしまう。手首が裂け、人形の身体から勢いよく吹き出す空気に驚いた純一だったが、「見ないで…」という人形の言葉を遮るように、お腹の空気穴から何度も息を吹き込んだ。「もう、大丈夫だから」抱き合う2人。人形は感じたことのない幸福感で満たされる。そして…。

●アジコのおすすめポイント:

空気人形に都会人の孤独を重ね合せ、誰かの代用品だった人形が心を持つことで、本当の人生を生きようとする儚いファンタジーです。人形という難役を演じたのは、是枝監督のラブコールに応えた韓国の個性派女優ペ・ドゥナ。『リンダ リンダ リンダ』に続く日本映画の主演を見事にこなしています。役柄上、大胆なヌードシーンもありますが、まるでほんとうに人形が人間になったような美しさ。リー・ピンビンのカメラワークも素晴らしく、また人形師として登場するオダギリ ジョーも効いてます。

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