アバンチュールはパリで(Night and Day)
story
国選画家のソンナム(キム・ヨンホ)は、留学生に誘われてマリファナを吸ったことがばれ、警察に発見されるのを恐れて、妻をソウルに残したまま憧れだったパリへやって来る。民宿に泊まり、街をぶらつくソンナム。すれ違った若い韓国人カップルの後姿を見ながら「あんな恋愛は二度とできない」と思うのだった。
ある日、街にでかけたソンナムはすれ違った女性から声をかけられる。「笑わせるわね。覚えてないの?」すっかり忘れていた彼女は、10年前に別れた恋人のミンソン(キム・ユジン)だった。カフェで昔話をしていると、通りかかった若い女性がミンソンに挨拶をして立ち去った。「あの子、ひどく現実的なの」ミンソンは彼女が嫌いらしい。ソンナムはほろ酔い加減のミンソンの誘惑から逃げ帰る。
昼はだらだらと過ごし、夜は妻(ファン・スジョン)に電話する毎日のソンナムを見兼ね、宿主(キ・ジュボン)が観光案内役として留学生のヒョンジュ(ソ.ミンジョン)を紹介する。ソンナムは画学生の彼女と二人でオルセー美術館を訪れ、クールベの「世界の起源」を鑑賞。さらにヒョンジュからルームメイトを紹介されるが、それは先日カフェで見かけたユジョン(パク・ウネ)だった。
太陽のように溌溂としたユジョンが気になるソンナム。その後、街でばったり再会した二人はカフェに入ることに。「これは奇跡だ。こんな奇跡があるから人は生きていけるのかも」と心の中で呟くソンナムだったが、裏腹にユジョンはそっけない態度をとり続ける…。
●アジコのおすすめポイント:
芸術の都パリを舞台に、画家の中年男と若く美しい留学生が恋のアバンチュールを繰り広げる…というと、ロマンチックに聞こえますが、そこはホン・サンス監督。現実はもっとみっともなくて滑稽だ、というのをユーモラスに見せてくれます。理由ありの中年男とこれまた理由ありの留学生、そこに昔の恋人やら、彼に憧れる留学生も混入し…果たしてこの恋の顛末は…? 懲りない男の頭の中が透けるような物語ですが、そいうところも人間くさくて愛おしいと思わせるのが、ホン・サンスの手腕かもしれません。
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