黒く濁る村(苔/Moss)
story
1978年、山深い村にあるサムドク祈祷院にやってきたユ・モッキョン(ホ・ジュノ)は、その穏やかな話ぶりと深い訓話で信者たちの心をとらえるようになっていた。嫉妬した院長(イ・チョルミン)は、チョン・ヨンドク刑事(チョン・ジェヨン)にユ氏が献金を着服していると告げ逮捕させる。しかし、暴力的なチョン刑事もいつしかユ氏のカリスマ性に魅せられていく。そして、やり直したいと考えている者たちを救済する理想郷を作ろうとユ氏に持ちかける。
30年後、20年も会っていなかった父の訃報を受けて、ユ・ヘグク(パク・ヘイル)がソウルから山奥の村へやって来る。チョン刑事とこの村に移住したユ・モッキョンは彼の父親だったのだ。年老いたチョン刑事は村長となり、3人の中年男たちが取り巻きのようにそばにいた。父の死因を知りたがるヘグクに男たちは嫌悪感を露わにし、村から追い出そうとするが、村長は30年前に一緒に移住してきたヨンジ(ユソン)の雑貨店に泊まるよう勧める。
その夜、人生を諦めたような翳りと独特な色気のあるヨンジの部屋に、村長の取り巻きたちが次々と訪れる。最後の男が去った後、ヨンジは庭の井戸水で下半身を洗い流す。その一部始終をヘグクは見ていた。
村人の様子がおかしいと感じたヘグクは、父が所有していた土地が村長名義に書き換えられていること、そして銀行口座からも全額が引出されていることを突き止め、パク・ミヌク検事(ユ・ジュンサン)に相談する。さらに、父の家を調べ始めたヘグクは、床下に秘密の地下道を発見する…。
●アジコのおすすめポイント:
今年の韓国の映画賞で数々の賞に輝いているカン・ウソク監督の作品です。原作は最終回までに韓国で3600万の閲覧数を記録し、大韓民国漫画大賞優秀賞を受賞したユン・テホのWeb漫画。対峙する二人の主人公にパク・ヘイル、チョン・ジェヨンという芸達者な個性派俳優を揃え、特に30年の年齢差を演じたチョン・ジェヨン(取り巻きの3人も)の演技はさすが。冒頭に登場するホ・ジュノも、独特の持ち味で聖人のような男を好演しています。清濁合わせ持つのが人間というものですが、まさにこの作品ではそんな人間の業と救済を描きつつ、徐々に闇の部分が露呈していくというこわい物語。驚愕のラストには、きっとゾクッとすることでしょう。161分もありますが、長さは感じさせません。
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