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ノルウェイの森

監督・脚本:トラン・アン・ユン
原作:「ノルウェイの森」村上春樹(講談社刊)
撮影:マーク・リー・ピンビン
編集:マリオ・パティステル
美術:イェンケ・リュゲルヌ、安宅紀史
音楽:ジョニー・グリーンウッド
主題歌:「ノルウェーの森」ザ・ビートルズ
出演:松山ケンイチ、菊地凛子、水原希子、高良健吾、霧島れいか、初音映莉子、玉山鉄二

2010年/日・仏
日本公開日/2010年12月4日
カラー/シネマスコープ/ドルビーデジタル/134分/PG12
配給:東宝
(c)2010 「ノルウェイの森」村上春樹/アスミックエース、フジテレビジョン
2011年 アジア映画大賞 撮影賞(マーク・リー・ピンビン)

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ノルウェイの森(Norwegian Wood)

story

 まだ高校生だったワタナベ(松山ケンイチ)は、親友のキズキ(高良健吾)とその幼なじみ直子(菊地凛子)の3人で、いつも遊んでいた。キズキと直子の絆は深く、ふたりは互いに愛しあっていた。だがある日突然、キズキは自殺してしまう。

 無二の親友を失くしたワタナベは、誰も知っている人間がいないところで新しい生活を始めるため、東京の大学へ進学。大学では学生運動が吹き荒れていたが、ワタナベは寮でひたすら読書をして過ごす。そんなある日、ワタナベは偶然直子と再会。ふたりはお互いに大切なものを喪った者同士、次第につき合いを深めていった。そして、直子の二十歳の誕生日の夜、ワタナベは直子に誘われるまま夜を共にする…。

 それ以来、直子は混乱し、会えなくなっていた。ワタナベは直子の自宅へ手紙を書き続ける。そしてある日、直子から手紙が届く。直子は家族の勧めで、京都の療養所に入院していたのだった。会えるようになるまでもう少し待って欲しい、と直子は書いていた。

 その頃、ワタナベは大学で緑(水原希子)と出会う。直子に会えないワタナベは、直子とは対照的な緑と会うようになっていった。そして、緑の自宅へ食事に招かれた時に唇を重ねる。それはやさしく穏やかで、どこへもいくあてのない口づけだった。

 直子から手紙が届き、ワタナベは森の中にある療養所を訪れる。そこには、直子の部屋の同居人・レイコ(霧島れいか)が待っていた。レイコも患者の一人だが、直子の監視役でもあった。ワタナベは彼女たちの部屋に泊まり、直子とふたりで森や草原を歩き回る…。

●アジコのおすすめポイント:

原作が優れた文学であればあるほど、読者の数だけその世界も多様になり、ゆえに誰もが躊躇する映像化にあえて挑戦できたのは、まさに外国人であるトラン・アン・ユン監督だからでしょう。リー・ピンビンと組んだその映像は、『夏至』をも彷佛とさせるまさにトラン・アン・ユンの世界。村上春樹さんもそんな監督の映像世界を信じて、映画化を託したのだと思います。風、雨、大草原のうねり…風景や自然に情感を込めて切り取るカメラワークはまさにリー・ピンビン・マジック。そして、その世界に主人公たちがピタリと収まっています。監督ならではの視点で原作のエッセンスをすくいあげ、映像として紡ぎあげた本作。実はアジコも赤と緑の本を持つ春樹ファンですが、個人的な思い入れは抜きにして、もう1つの「ノルウェイの森」として、その映像世界を堪能していただきたいと思います。(美術担当は監督夫人でもある女優のトラン・ヌー・イェン・ケー)


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