男たちの挽歌(無敵者/A Better Tomorrow)
story
北朝鮮からの脱出途中、生き別れになってしまった仲のよい兄弟がいた。脱北に成功した兄のヒョク(チュ・ジンモ)は、コリアン・マフィアの世界に入り、同じ北朝鮮出身の元特殊部隊員ヨンチュン(ソン・スンホン)とともに、釜山を拠点にする武器密輸組織を支える大物として暗躍していた。しかし、巨万の富と権力を手にしたヒョクは、毎晩夢にうなされていた。脱北に失敗し、行方不明になっている弟・チョル(キム・ガンウ)のことが今も気がかりなのだ。
アジア各国のブローカーを通じて、チョルの消息を探していたヒョクのもとに、父親のように世話をしてくれるパク警部(イ・ギョンヨン)から「弟が見つかった」という連絡が入る。収容所で母を失ったチョルは、再び脱北を試み、タイからミャンマー、モンゴルを経て、韓国に入国したところを発見されたのだった。ヒョクはチョルと再会を果たすものの、家族を裏切った兄に対し、殺意にも似た深い憎しみを持っている弟の姿を目のあたりにする。そして、ヒョクは組織を離れることを決心するのだった。
ヒョクの最後の仕事は、タイでの大規模な取引だ。ボスのチョン社長(キム・ヘゴン)に頼まれ、彼はチョン社長の甥で気弱な性格のテミン(チョ・ハンソン)を同行させる。だが、日頃からヒョクに嫉妬心を抱いていたテミンの策略にハマり、取引は失敗。そのまま、ヒョクだけが地元警察に逮捕されてしまう。一方、ヒョク逮捕のニュースを知ったヨンチュンは、単独でタイ・マフィア相手にヒョクの敵討ちを行う。だが、右脚に重傷を負うばかりでなく、テミンの手により組織を追われてしまうのだった。
それから3年…。勢力を拡大した組織を支えているのはテミンだった。そして、兄を自分の手で逮捕するという想いを胸に、韓国警察に所属する刑事になったチョルは、1年間テミンの動きを追っていた。一方、タイの刑務所を出所し、釜山に戻ってきたヒョクはヨンチュンと再会を果たす。だが、ヨンチュンは右脚を引きずりながら、組織が経営する駐車場の洗車係として働いていた…。
●アジコのおすすめポイント:
今や世界の巨匠ジョン・ウー監督の86年の名作『男たちの挽歌』のリメイク作品。白い鳩は飛びませんが、2丁拳銃やスタイリッシュなアクションシーン、細かい設定や名場面など、オリジナルを踏襲して再現されたシーンも多く、オリジナルファンにも充分に楽しめる作品になっています。兄弟シーンで流れるのは、オリジナル『2』でレスリー・チャンが歌っていたメロディ。これもまた、ファン泣かせ。もちろん、オリジナルを知らず初めてご覧になる方、ソン・スンホンやチュ・ジンモのファンの方にも堪能できる仕上がりになっています。大前提に脱北者という隠れテーマがあり、そこがオリジナルとの大きな違い。結末も韓国版ならではの展開です。オリジナルでも注目された裏切者役を演じるのは、チョ・ハンソン。いつもと違う悪役をコミカルに演じており、個人的に面白かったです。
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