海洋天堂(海洋天堂/Ocean Heaven)
story
中国、チンタオ。大海原に浮かぶ小舟から、足に重りを付けた親子が海へ飛び込む。だが、息子は足かせをほどき、悠々と水面へ上がっていく…。
ワン・シンチョン(ジェット・リー)は妻に先立たれてから、男手ひとつで自閉症の息子ターフー(ウェン・ジャン)を育ててきた。だが、自分が癌で余命わずかと知り、21歳になった息子の将来を案じて心中を試みたのだった。自宅に戻ったシンチョンが遺書を隠した後、いつも世話をやいてくれる親切な隣人の女性チャイ(シュー・ユアンユアン)がやって来た。
シンチョンが働く水族館の館長(ドン・ヨン)は、泳ぎの好きなターフーのために水槽をプールとして使わせていた。シンチョンは仕事の合間を縫って、息子を預かってくれる施設を探し、一方でターフーにバスの乗り方など、一人で生きていく術をひとつひとつ教えていく。
かつて世話になった養護施設のリュウ先生(イェン・ミンチュー)のおかげで、ターフーは民間の施設に入れることになる。しかし、父と離れて一人きりになったターフーは発作を起してしまう。シンチョンは施設に移り、最後の日まで息子と共に生活することにする。
その頃、ターフーは水族館に巡業で来ていたサーカス団のピエロ、リンリン(グイ・ルンメイ)と出会い、彼女に興味を抱く。リンリンもまたターフーに優しく接し、二人で楽しい一時を過ごすのだった。
●アジコのおすすめポイント:
人間味溢れるヒーローを演じてきたジェット・リーが、得意のアクションを封印し、慈愛に満ちた父親を見事に演じています。チェン・カイコー監督の『北京バイオリン』でも父と息子の心暖まる物語を書いた女性脚本家シュエ・シャオルーが、長年ボランティアとして支援活動を続けてきた自閉症をテーマに描いた監督デビュー作品。自ら「壱基金」を運営するジェット・リーがノーギャラで出演したのはもちろんのこと。さらに、ビル・コン(製作)をはじめとする一流のスタッフが結集し、珠玉の作品に仕上がっています。海、水槽、水族館のプール…水の描写が美しく、久々に観たクリストファー・ドイルのカメラワークにも癒されます。そして、無垢なる息子役を自然体で演じたウェン・ジャンの素晴らしいこと! 海亀には泣かされますが、生きる強さがじわじわと伝わって来ます。ラストのジェイの歌もエンディングにふさわしく、印象に残ります。
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