女と銃と荒野の麺屋
(三槍拍案驚奇
/A Woman, A Gun, and A Noodle Shop)
story
中国・嘉峪関の荒野にぽつんと立つ一軒の中華麺屋。店主の妻(ヤン・ニー)は、ペルシャの行商人から銃を購入する。「世界最強の武器を手に入れた!」と高らかに笑う彼女の横で、神経質で臆病な従業員のリー(シャオ・シェンヤン)は、彼女との不倫がばれるのではないかと気が気でない。さらに、彼女が銃を何の目的で買ったのかという心配事が増え、胃が痛い思いをしていた。
店主のワン(ニー・ダーホン)は、10年前に買った妻が子宝に恵まれないことに腹を立て、夜毎、彼女を虐げていた。そんなワンに対抗するため妻は銃を手に入れたのだが、従業員で小ずるいジャオ(チェン・イェ)はそのことをワンに告げ、地域の巡回警察官チャン(スン・ホンレイ)は、妻とリーが不倫しているようだと密告する。ふたりともワンから賄賂を受け取っていたのだ。
頭に血が上ったワンはチャンを呼び出し、高額な報酬を見返りに2人の殺害を依頼する。「俺に考えがある。証拠はどこにもない」と暗殺を強要するワン。警察官の乏しい給料で満たされない生活を送っていたチャンは、その殺害計画に乗ることにする。
翌日、妻とリーはこっそり馬車に乗り、南の丘で仲良く昼寝をしていた。そこへ大きな剣を構えたチャンが忍び寄よる。慎重に近づいたチャンは、中に隠されていた妻の銃に目を留め…。
その夜、ワンの元へ、べっとりと血のついた妻とリーの衣服の切れ端を持ってチャンが現れる。ワンがふたりの死を信じ、金庫から金を出し報酬を渡そうとしたところで、チャンは突然銃を構え、なんの躊躇もなく無表情に引き金を引く。それは一瞬の出来事であった。
●アジコのおすすめポイント:
チャン・イーモウ監督が巨匠の座に甘んじることなく、新境地に挑戦した作品です。土台となったのは、ジョエル&イーサン・コーエン兄弟の『ブラッド・シンプル』(84)。テキサスの片田舎で繰り広げられるクライム・スリラーを、なんと中国の荒野を舞台にしたコメディタッチの時代劇としてリメイクしています。撮影監督出身ならではの映像、色彩美は健在で、芝居じみた登場人物たちの衣装もこのとおり。空は青く、大地は赤く…拳銃を巡る事件の展開を追って行くうちに、シリアスな結末へと向かってしまうのは巨匠ゆえでしょうか。監督の新たな一面を味わってください。
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