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沈黙の春を生きて

企画・監督:坂田雅子
製作:山上徹二郎
編集:ジャン・ユンカーマン
撮影:ビル・メガロス、山田武典、坂田雅子、ロバート・シーモン
整音:小川 武
音楽:グエン・タイン・トゥン、 難波正司
ナレーション:加藤登紀子
出演:ヘザー・A・モリス・バウザー、シャロン・L・ペリー、ベトナムの被害者と家族の皆さん、アメリカの被害者と家族の皆さん

2011年/日本
日本公開日/2011年9月24日
カラー/HDV/87分
配給:シグロ
(c)2011 Masako Sakata/Siglo.

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沈黙の春を生きて(Living the Silent Spring)

story

 1962年にレイチェル・カーソンが著した『沈黙の春』は、 当時隆盛を誇った農薬の危険性を予言し、DDTが禁止されるきっかけとなった。一方、その頃ベトナムでは、ジャングルにひそむゲリラの隠れ場所をなくすため、米軍による枯葉剤散布がはじまった。枯葉剤は農薬と同じ成分を持つが、人体や自然環境に多大な影響を及ぼす、猛毒のダイオキシンが含まれていた。

 当時のアメリカ政府が「人体に影響がなく、土壌も1年で回復する」と説明していた枯葉剤は400万人ものベトナムの人びとに直接散布され、その被害は戦後35年を経た今も続く。当時ベトナムに駐留していた米軍兵士も枯葉剤を浴び、帰還兵の多くが未だににその影響に苦しみ、被害は彼らの子供や孫の世代にまで及んでいる。

 帰還兵の娘、ヘザーは片足と指が欠損して生まれた。父の戦場であったベトナムを訪ねたヘザーは、両国の被害者が繋がっていくことの大切さに気づく。本作は、枯葉剤の刻印を背負ったベトナム・アメリカ、双方の子供たちの困難と勇気を描き、レイチェル・カーソンの予言的言葉に再び耳をかたむけることの大切さを訴える。

●アジコのおすすめポイント:

日本ではベトちゃんドクちゃんで知られるようになった枯葉剤。監督の坂田雅子さんは、ベトナム帰還兵だったアメリカ人の夫を03年に亡くしたことで、枯葉剤についての映画製作を決意したのだとか。枯葉剤や化学物質の脅威を訴える作品ではありますが、それと同時に生きる力というか、家族の愛や団結というか、そんな不思議なエネルギー、暖かさも感じられる作品になっています。たとえどんな障害があっても、生きている人たちは皆尊く美しい、そう思わせる作品です。ガイド役のヘザーさんはとても魅力的。本編の最後には「アメイジング・グレイス」が流れます。最近ではヴァネスがアカペラでよく歌っていますが、障害を個性に変えてゴスペル歌手として活躍しているレーナ・マリアさんも美しい声で歌っていました。本作では、ヘザーさんがベトナムの旅で最後に出会った盲目のタイン・トゥンさんが、ベトナムの一弦琴で演奏してくれます。

ヘザーさんの活動について
エージェントオレンジレガシーについて
・坂田監督の「希望の種 奨学金制度」について

●劇場イベント情報:
毎週水曜日16:30の回上映後にトークイベント開催。
・10/5 中村梧郎(フォト・ジャーナリスト)
・10/12 纐纈あや(映画『祝の島』監督)
・10/19 野中章弘(ジャーナリスト、アジアプレス・
 インターナショナル代表)


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