1911(辛亥革命/1911)
story
20世紀初頭。日清戦争を機に、中国では日本、イギリス、フランス、ロシア、ドイツら列強諸国による勢力が一層強まり、わずか2歳で皇帝に即位した溥儀を戴く清王朝は、衰退の一途をたどっていた。浸食されてゆく国を憂う民衆の不満の声も高まり、孫文(ウインストン・チャオ)率いる「中国同盟会」を始めとする、多くの革命組織が各地で結成されていた。
1911年3月。清王朝に対して幾度となく反旗を翻してきた孫文は、武装蜂起を前に指名手配されてしまい、国外逃亡せざるを得なくなる。孫文は中国での革命活動の指揮を、彼が最も信頼する同志である黄興(ジャッキー・チェン)に託した。
4月、孫文の意志を引き継いだ黄興は、海外から帰国した「中国同盟会」のメンバーとともに、広州にある総督府に攻め込むことを計画する。だが事前に情報を入手していた清朝軍に厳戒態勢を敷かれ、激しい市街戦となってしまう。
この戦いで多くの同志を失い、撤退せざるを得なかった黄興は悲しみに打ちひしがれ、自らを責め、苦しむ。そんな彼を献身的に支えたのは、弾薬の運搬や負傷者の看護役として参加していた女性革命家・徐宗漢(リ−・ビンビン)だった。激烈な戦場で支えあううちに、2人はお互いの気持ちが通じ合うようになっていく。
「黄花崗七十二烈士」と呼ばれたこの悲劇は、中国全土にこれまでにない反清運動の高まりをもたらす。その後、全国で次々に巻き起こる若者たちの勇気ある行動と、徐宗漢の支えにより、黄興はふたたび立ち上がることを決意する…。
●アジコのおすすめポイント:
これは歴史の物語です。辛亥革命、孫文という名は知っていても、当時がどんな状況でどんな風に革命が広がっていったのかはなかなかわかりません。本作は、それを知るよい教科書となるでしょう。監督は『追憶の上海』や『女帝/エンペラー』『レッドクリフ』など数々の名作を手がけた撮影監督のチャン・リー。孫文を演じるのは、これまで幾度も孫文役を演じて来たハマリ役のウィンストン・チャオ。そして、孫文の親友である黄興(ホアン・シン)を演じるのが、本作の総監督にして100本目の出演作となったジャッキー・チェン。いわゆるジャッキー・アクションはちょっぴりしかありませんが、馬を駆け革命を指揮する姿はまるで『レッドクリフ』のような勇猛さ。黄興は「中国の西郷隆盛」と呼ばれていたそうです。その他、ちょっとずつですが、秋瑾、林覚民、張振武(演じるのはジャッキーの息子、ジェイシー)といった革命家たちも登場します。『ラストエンペラー』のジョアン・チェンが演じる隆裕皇太后は、NHKドラマ「蒼穹の昂」で光緒帝の正妻となった西太后の姪。同じくドラマで西太后がかわいがる宦官の春児を演じたユィ・シャオチュンは、日本とも縁の深い革命家、汪兆銘を演じています。
尚、内容が複雑でセリフが多いのと、字幕版でも中国声優さんによる吹替が多かったので、本作にかぎっては日本語吹替版の方がよりわかりやすいかもしれません。
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