父の初七日(父後七日/Seven Days In Heaven)
story
台湾中部・彰化県の片田舎。突然の父(タイ・パオ)の訃報に、台北で働く娘アメイ(ワン・リーウェン)が帰省する。夜店を営む兄・ダージ(チェン・ジャーシャン)、大学生の従弟・シャオチュアン(チェン・タイファ)が集まり、道士でもある叔父アイー(ウー・ポンフォン)の指図で伝統的な道教式の葬儀が執り行われることになる。
占いで決められた野辺送りの日は7日後。3人はアイーの指示に従って通夜を行い、霊堂を設けて弔問客を迎える。アイーとともに葬儀をてきぱきと仕切るのは、泣き女も務める相棒のアチン(チャン・シーイン)だ。大学で映画を学んでいるシャオチュアンは葬儀の様子をカメラに収め、アイーに興味を抱く。
古いしきたりに沿ったお葬式は、泣き女が過剰に泣くわ、楽隊が登場するわで、お祭りのような大騒ぎ。悲しみに浸る間もなく、アメイたちはなんとか1つ1つをこなしてゆく。弔問には、なんと父の恋人まで現れるのだった。
そんな喧騒と混乱のなか、父が夜店でカセットテープを売り、よく歌っていたことや、誕生日にこっそり粽を食べさせてくれたことなど、たわいもない思い出がふと甦り、アメイは父との深い絆と寂しさに包まれるのだった。そしてついに7日目、別れの日がやってくる…。
●アジコのおすすめポイント:
かつて、伊丹十三監督が日本の伝統文化を現代人に伝たいという意味も込めて製作し、初監督作品にして大ヒットした『お葬式』。本作はまさに台湾版『お葬式』とも言える作品で、台湾や中華圏ならではの葬儀の風習がコミカルに描かれています。歴史の中で変わらず続いてきた形と、ライフスタイルや考え方などがどんどん変わって来た私たち現代人とのギャップ。にもかかわらず、ひとまずはイベントをこなすことで喪失感を忘れ、騒ぎの後でほんとうの悲しみがじわじわと押し寄せる、これは国を問わず普遍的に共感できる物語でしょう。海外で暮らす長女(出て来るのはその息子)や台北でバリバリと働いている主人公、一方、父と同じ夜店で働いている兄。素直に育った子どもたちからも、良き父親の存在が浮かび上がってきます。
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