さらば復讐の狼たちよ
(譲子弾飛/Let The Bullet Fly)
story
1920年、政治が腐敗し、軍閥が割拠している時代。県知事のマー(グォ・ヨウ)は妻(カリーナ・ラウ)と書記のタン(フォン・シャオガン)と共に、馬に引かせた列車で赴任先の地方都市・鵝城へ向かっていた。名うての詐欺師でもあるマーは、金で県知事の官位を買っていたのだった。巨大な火鍋を囲んで会食しているその時、彼らは7人の覆面ギャング集団に襲撃される。
一味のボスは、指名手配中の「アバタのチャン」(チアン・ウェン)だった。妻と捕らえられたマーは死んだ書記になりすまし、チャンに「鵝城の県知事になれば金儲けができる」と持ちかける。マーの話に乗ったチャンは、皆で鵝城に向かう。指名手配のビラが貼られた町の入口で歓迎の太鼓に迎えられ、チャンは県知事になりすます。
しかし、鵝城を牛耳っていたのは独裁者の商人ホアン(チョウ・ユンファ)だった。彼は新任の県知事を警戒し、身の安全のために自分そっくりの替え玉(チョウ・ユンファ・二役)も用意していた。一方、前任の県知事が90年後の2010年まで徴税していることが発覚する。そこでチャンは町民からではなく、金持ちから金を出させようと考えていた。チャンたちはもともと義賊なのだ。
そんな時、町民に不当な横暴を働いたホアンの用心棒ウー(チアン・ウー)をチャンが罰する。激怒したホアンは報復するために部下のフー(チェン・クン)を送り込み、チャンが息子のように可愛がっていた六弟(チャン・モー)に難癖をつける。むきになった六弟は自身の潔白を証明しようとして、自殺してしまう。
チャンは悲しみにくれ、ホアンを必ず倒すことを誓う。ギャングのボスと街の独裁者、腹を探り合い、相手を出し抜く頭脳戦が始まった。そんな中、チャンの正体を知らないホアンは、「アバタのチャン率いるギャング集団を討伐すれば、多額の謝礼金を払う」とチャンとマーにもちかける…。
●アジコのおすすめポイント:
まるでジョニー・トー作品のような邦題がついておりますが、本作は中国映画。94年に『太陽の少年』で監督デビューした俳優チアン・ウェンの長編4作目となります。2作目の『鬼が来た!』はカンヌでグランプリ、その後5年間の映画製作禁止処分を受け、3作目の『陽もまた昇る』ではベネチアでグランプリと海外での評価が高かったチアン・ウェン。本作は中国国内での興行記録を塗り替える大ヒットとなり、中国でも最優秀監督賞を受賞しています。その魅力はというと、助演からチョイ役までにいたる出演俳優陣の豪華さもありますが、複雑なストーリー展開に込められた痛烈な社会諷刺という裏読みもあるようです。激しいセリフの応酬やダジャレ合戦など、日本人にはわかりづらい面もありますが、「義」を重んじるギャング団たちの活躍を追って行くだけでも楽しめます。
あっと驚く俳優たちの役どころもポイント。極悪なチェン・クン、間抜けな替え玉のチョウ・ユンファ(二役)、その他、ミャオ・プウやフー・ジュンがどんな役柄で出て来るかもお楽しみ。ちなみに、チアン・ウーは監督の実弟、マドンナ役のチョウ・ユンは監督の奥様です。
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