凍える牙(ハウリング/Howling)
story
ソウルで奇妙な焼死体が発見された。停車中の車の中にいた男の体が突然発火し、そのまま車ごと炎上したのだ。中年刑事チョ・サンギル(ソン・ガンホ)は、元白バイ警官の女性刑事チャ・ウニョン(イ・ナヨン)とコンビを組み、捜査を担当するよう命じられる。
これは自殺と思しき単純な死亡事件と解釈したサンギルは、気が乗らなかった。何度も昇進を逃し、キャリアが行き詰まっている彼は、もっと手柄になるような大事件を求めていたのに、新米刑事の世話係まで押し付けられたのだ。
ところが、科学捜査班の検証で、死体の太股には獣に噛まれた傷痕があり、尿からは覚醒剤が検出される。ベルトのバックル内からはタイマーと発火装置が見つかり、引火性の強い化学物質が仕込まれていた。これは用意周到な殺人事件だ。俄然やる気を出したサンギルは、手柄を独占しようともくろむ。
ヤクの売人から被害者の連絡先である塾を聞き出したサンギルは、ウニョンと共に内部を調べる。そして、隠し扉の裏側にあるイメージクラブを発見。被害者がここで、未成年の少女たちを薬物漬けにして働かせていた悪質な犯罪者であることを突き止める。
さらに、新たな事件が発生。被害者は麻薬と未成年買春の前科を持つ男で、最初の事件の被害者とは知人同士だった。男は路上で大型犬に襲われて死亡していたが、現場で採取された動物の毛から、それが狼だったことが判明する…。
●アジコのおすすめポイント:
日本でも天海祐希(01年)、木村佳乃(10年)主演で2度もドラマ化された、乃南アサの人気ベストセラー小説「凍える牙」が、原題『ハウリング』となって日本より先に韓国で映画化されました。主演は共に演技派のソン・ガンホとイ・ナヨン。狼と犬の混血ウルフドッグによる連続殺人事件という特殊な設定と、その背景にある哀しいストーリーが、はぐれ者である二人の刑事と狼犬チルプン(疾風)との不思議な絆と共に描かれます。終盤、イ・ナヨンが白バイに乗ってチルプンと共に疾走するシーンは圧巻。監督は詩人でもあるユ・ハ監督。「作品世界に通底するものが的確に捉えられ、描かれていればよい」とする原作者をも感動させた作品に仕上がっています。
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