| ビラルの世界（Bilal）
film
ビラルの両親は、盲学校で知りあい、ヒンドゥーとムスリムの宗教の違いを乗り越え恋に落ちた。妻のジャルナがムスリムに改宗し、夫シャミンの母親や親せきの住むタルトラ地区に移り住み、子どもたちが生まれた。
詐欺にあって金をだまし取られるなど、たくさんの困難が一家を襲うが、障がいをものともせず、長屋のような隣近所との濃いつながりの中で、果敢に愛情深くビラルたちを育てている。
3歳のビラルは忙しい！ 洪水になった路地で水遊びをしたり、目の見えない両親の手をとって通りを渡ったり、弟ハムザをいじめては泣かせる毎日だ。カンカンになった父さんのお仕置きから身を隠すことも知っている。
一家が暮らす狭い部屋の外は、路地が入り組むスラム街。カメラはビラルを追いかけ、音と光が氾濫する世界へと私たちを誘う。
●アジコのおすすめポイント：
監督がビラルと初めて出会ったのは病院でした。頭に怪我をして入院し、盲目の母に抱き締められた生後8ヶ月のビラル。その美しい瞳と目が合った瞬間から、家族と特別な関係ができ、本作が実現したそうです。撮影期間は14ヶ月。160時間の映像は、1年半以上をかけて丁寧に編集されています。そこに映し出されているのは、ビラルの目線から見た世界。腕白でいたずら好きで、幼い弟（かわいい！）をいじめて泣かせたりと、ビラルは相当なやんちゃ坊主。障害があっても、貧しくても、プライドを持って生きる両親は、ビラルをきびしくしつけ、力強く生きています。そんな日常の風景を、ありのままに紡いだのが本作。ラストでは、少し成長したビラル一家の姿も見ることができます。
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