高地戦(高地戦/The Front Line)
story
1953年冬。板門店では国連軍、北朝鮮、中国の3者が南北境界の線引きを巡って火花を散らしていた。韓国軍防諜隊中尉カン・ウンピョ(シン・ハギュン)は任務に嫌気がさし、軍の方針に異を唱えて最前線での調査を命じられる。
向かった先は、停戦協議中も頂上を巡る攻防が続く激戦地のひとつ、エロック高地。そこで戦死した中隊長の死体から味方の弾丸が発見されたのだ。人民軍の内通者がいると目されるワニ中隊には、戦死したと思っていた友人キム・スヒョク(コ・ス)がいるらしい。
3年前の開戦直後、ウンピョが率いる小隊は北朝鮮軍に猛攻され、捕らえられてしまう。震えながら神に祈るばかりのスヒョクを励ますウンピョ。小隊は死を覚悟するが、「故郷に隠れて終戦後に祖国の再建に努めろ」と言う北の隊長からウンピョは釈放され、負傷したスヒョクは手当のため北朝鮮軍に連れ去られたのだった。
ワニ中隊に赴任したウンピョは驚く。人民軍の軍服を重ね着するオ・ギヨン軍曹(リュ・スンス)、抗日戦での自慢話を繰り返すヤン・ヒョサム曹長(コ・チャンソク)、臨時中隊長として部隊を率いているのは、20歳になったばかりの青年大尉シン・イリョン(イ・ジェフン)だ。そして、柔弱な学生だったスヒョクは中尉に昇進し、ワニ中隊のリーダー的存在となっていた。
●アジコのおすすめポイント:
『映画は映画だ』『義兄弟』と、男同士の人間ドラマを描くのが得意なチャン・フン監督の3作目。闘いに疲弊した最前線の北と南の兵士たちの日常や交流を描くという点では『JSA』にも似て、停戦を待ち望んでいる彼らを「戦線夜曲」がやさしく包みます。一方、高地戦という難しい戦闘シーンの迫力とリアリティもかなりのもの。抑えた演技のシン・ハギュンに対し、コ・スは複雑な内面の変化を遂げる役どころで、俳優としての成長が見られます。北の猛将を演じるリュ・スンリョン、若き青年大尉役のイ・ジェフンも印象的。戦争映画ではありますが、領土争いや戦争の虚しさを描いたヒューマンドラマとしてご覧ください。
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