三姉妹 〜雲南の子(三姉妹/Three Sisters)
story
幼い三姉妹は、3人だけで簡素な家に暮らしている。母は、だいぶ前に家を出てしまい、父は町に出稼ぎに行っているからだ。近くに伯母さん家族やおじいさんがいるので、時には仕事を手伝う代わりに食事をわけてもらうが、長女のインインが妹たちの面倒を見、家畜の世話や畑仕事をして、生活をやりくりしている。
ある日、父親が町から戻ってくる。3人に笑顔が広がる。「父さんが町に行ってから何年も体を洗ってないんだよ」と、小さなフェンフェンが自慢する。父親は子供たちを町に連れていくことにした。だが、経済的な問題から、長女のインインだけを村に残すことにする。
一人残されたインインは、おじいさんの家で暮らし、学校へ通う。近所の少年、ヨンガオと馬糞拾いをする。ヨンガオの家も母親がいない。大伯父さんの家で収穫を祝う宴が開かれる。今日は電気も来てる。ブタを一頭つぶして豪勢なごちそうだ。大人たちは農村復興の話をしている。
やがて父親が出稼ぎに見切りをつけ、チェンチェンとフェンフェン、そして子守の女とその娘を連れて戻って来る。三姉妹の一家は、大人2人、子供4人の大家族になった。父は畑仕事に行く。女と子供たちは川で洗濯をする。びゅうびゅうと風が鳴る中、三姉妹は地面を踏みしめて歩く。
●アジコのおすすめポイント:
『鉄西区』三部作で知られるワン・ビン監督。初めての劇映画『無言歌』でも注目された社会派ですが、20日間ほどで撮影されたという今回の新作は、カメラがひたすら三姉妹に寄り添い、三人の表情や仕種を克明に捉えています。それは驚くほど貧しく、過酷な生活環境ですが、三人の会話は無邪気で時にユーモラス。特に下の二人は、どこにでもいる子供のように腕白でのびのびとしています。一方、そんな二人の面倒をみている長女は、様々な感情を押し殺したような風情も感じさせます。米俵で作ったような防風マントを着て、羊を追うインイン。そんな子供たちの姿をハラハラしながら見つめる2時間半は、決して長くありません。同情とか憐れみを跳ね返すような逞しさと屈託のない笑顔。生きるエネルギーに満ちている子供たち。終盤、村へ戻って来た父親との新しい生活が始まります。はたして、この家族は、そして三姉妹はどうなっていくのでしょう。
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