折れた矢(Unbowed)
story
2007年1月15日、キム教授(アン・ソンギ)はマンションの一角で、判事のパク・ポンジュ(キム・ウンス)が戻って来るのを待ち構えていた。そして、彼が現れると、持参していたクロスボウを彼に向け、なぜ不当な判決を下したのかと迫った。
1995年1月。ソウルの有名大学に勤務していたキム教授は、入試問題の中に解けない問題があることを指摘。出題ミスとして扱うよう進言するが、大学側は出題ミスの発覚を伏せるためキム教授を解雇。やむなく、教授一家はアメリカに移住する。
その後、韓国で不当解雇裁判が勝訴したことを知った教授は、帰国して訴訟を起す。その時の裁判長がパク・ポンジュだった。しかし、大学側は不正な証拠を提出し、充分な審議がされないまま裁判は敗訴。これを法と正義への挑戦と憤ったキム教授は、実力行動を起したのだった。
逮捕されたキム教授の裁判が始まる。検察は矢が刺さったと主張するが、キム教授は矢は撃っていないと主張。現場では3本の矢が押収され、刺さった後で折れたとされる矢はなくなっていた。弁護士よりも雄弁な教授に、裁判は難航。教授は妻(ナ・ヨンヒ)に頼んで、労働弁護士のパク・シュン(パク・ウォンサン)に弁護を依頼する。
●アジコのおすすめポイント:
07年に韓国で実際に起こった事件を元にした作品です。被害者が司法界の大物だったがために、その後の裁判できちんとした審議がされないまま実刑判決を受けようとしますが、そこはインテリで正義感溢れる大学教授の被告。そもそも、曲ったことを見過ごせずに大学を不当解雇されたことが事の発端。裁判でも反骨精神を発揮して、弁護士をもしのぐセルフ弁護を展開。収監中も独房で法律を勉強し、拘置所内での違法行為を指摘するなど大活躍。弁護士も、暴走しがちな被告を制しつつ、きちんと筋の通せる弁護士を選びます。この二人のタッグによって、検察側は窮地に追い込まれていくわけですが、しかし…というわけで、こんな裁判があってよいものか!と卵をぶつけたくなること間違いなし。チョン・ジヨン監督と名優アン・ソンギが、『ホワイト・バッジ』以来20年ぶりに組んだ意欲作です。
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