リトルファイター(Buffalo Girls)
story
タイ国内には、15歳未満の児童ムエタイファイターが3万人以上は存在するという。8歳の小柄な少女スタムは、この日初めての対戦相手と試合をしている。同じ8歳の少女ペットだ。大人顔負けの真剣勝負だが、小さな身体はすぐにもつれあう。大人たちが賭け金をつり上げ、少女たちに知らされる。闘いは激しさを増す。
負けず嫌いのスタムは22キロ級のチャンピオンベルト保持者。家計を助けるためにファイターになり、建築中の家を完成させるために頑張っている。畑で作った野菜を売る両親はスタムを信頼し、元ムエタイボクサーの若い父は「人生を選ぶ権利は娘にある」と語る。
ペットは心臓病を患っており、2歳の時手術をしている。両親は「ムエタイを始めてから健康になった」と、やはり娘を信頼している。独特なヘアスタイルは母親の手によるものだ。ペットも家計を助けるためにファイターになり、自分は強いと信じている。
2人とも、普段は学校に通うあどけない少女。初戦でペットに負けたスタムは、2戦目でペットに勝つ。その日、試合見物に着ていたペットは、スタムの対戦相手の身体が大きかったため、急遽対戦させられたのだ。そして3度目の対戦は、チャンピオンベルトを賭けたタイトルマッチだった。
●アジコのおすすめポイント:
驚きました! 貧困層の児童労働は世界的な問題ですが、8歳のまだあどけない小さな身体の少女(しかもひとりは心臓病持ち)たちが、成人男性でも危険なボクシングをやるのですから。その目的はお金のため。そんな2人に両親は全幅の信頼を寄せ、応援しています。2人もその期待にこたえようと頑張る。笑顔で頑張る。勝敗で明暗が分かれるその後まで、カメラは追っていきます。それでも、2人はムエタイが好きだと言う。それなりにルールはあるのでしょうが、どうか怪我をせず成長して欲しいと願うばかりです。さて、この現実をどう捉えるか、自分の良識が試される作品です。
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