冬の香港中国エンターテイメント映画まつり
ゴールデン・スパイ(天機・富春山居図/Switch)
story
ドバイ。高級ホテルの上層階で寛ぐイギリスの武器商人ロジャーは、広大な中国市場に進出しようとしていた。しかし、武器よりも骨董品の方が儲かると知り、中国の国宝級水墨画「富春山居図」の強奪をもくろむ。
「富春山居図」は、元の時代に画家・黄公望によって描かれた水墨画。だが、明の時代に2つに引き裂かれ、「無用師巻」は台北の故宮博物館に、「乗山図」は中国浙江省の博物館に保管されている。その2枚の絵が360年ぶりに揃い、台北の故宮博物館で公開されようとしていたのだ。
しかし、台北の「無用師巻」は、ロジャーの手下と日本のヤクザ山本(トン・ダーウェイ)の配下にある黒い魔女(シー・ティエンチー)との争奪戦の末、ロジャー側に渡ってしまう。「乗山図」の強奪も予想した政府は、特捜チームを結成。西湖で家族と寛いでいた香港警察の秘密工作員シャオ(アンディ・ラウ)は、謎の人物Fより「プロジェクト1」に従うよう命じられる。
杭州では、シャオの妻で保険会社のリン(チャン・ジンチュー)たちの厳重な警備体制により「乗山図」が守られていた。女帝(スーチン・ガオワー)主催のパーティに出席したシャオは、「乗山図」が水路で移送されることを知り、秘かに監視する。しかし、移送船はロジャーの手下や黒い魔女たちに襲われ、絵は女帝の手に渡ってしまう。
絵の取引が東京で行われることになり、シャオも東京へ。そこで、妻の友人である美人スパイのリサ(リン・チーリン)と合流。2人でオークションに潜入し、無事「乗山図」を取り戻すが、山本の計略でシャオはリサを誤って殺し、自身も瀕死の重傷に。3ヶ月後、シャオは回復するが、彼はすでに死んだことになっていた…。
●アジコのおすすめポイント:
2枚の名画を巡る争奪戦の中に、複雑な人間関係が盛り込まれ、お話が二転三転する展開。まさに switch が連続するスパイ・アクションです。007を意識して、美女軍団も登場。美しい妻がありながら、美人スパイにも翻弄される主人公ですが、このリン・チーリン扮する潜入スパイ(実は山本の愛人)は早い段階で正体がバレますし、最後まで出て来ますので、ファンの男性諸氏はご安心を。いろんな要素を盛り込み過ぎて、うまく整理できていない印象もありますが、これだけの大作(しかもハリウッドの著名スタッフも動員!)を初監督で任されたのだから、し方ないかも。山本に関しても、複雑な背景を持つ屈折した男として、ラストに別な見どころが用意されています。また、ドバイや中国の様々な名所も登場します。『アバター』のスタッフ監修による3Dで製作されていますが、今回は2D版での上映。
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