ドラッグ・ウォー 毒戦(毒戦/Drug War)
story
中国・津海。爆発した工場から車で逃げた男が衝突事故で意識不明となり、病院に担ぎ込まれる。彼の名はテンミン(ルイス・クー)。病院には公安の麻薬捜査官、ジャン警部(スン・ホンレイ)がいた。ジャンは押収した携帯電話などから、香港出身のテンミンが覚醒剤の密造と取引に関わる重要な容疑者だと気づく。
テンミンは監視の目を逃れて逃亡をはかるが、ジャンとベイ刑事(クリスタル・ホアン)に捕えられ、中国での覚醒剤密造は死刑と知らされる。事故で家族を失い、恐怖に怯えるテンミンは、減刑と引換に捜査協力を承諾。彼から密造ルートを聞いたジャンは、覚醒剤の原料を積んだトラックを追跡中の粤江警察との合同捜査隊を指揮する。
原料を供給している黒社会の大物チェンビャオ(リー・ズェンチ)の甥チャンを装ったジャンは、テンミンの仲介で、取引相手のハハ(ハオ・ビン)に接触。ハハは韓国マフィアや日本のヤクザとも通じており、アジア麻薬シンジケートを作ろうとしていた。商談をまとめたジャンは、ハハを装ってチャン(ケビン・タン)にも接触。チェンビャオ逮捕に近づいていく。
一方、テンミンは自分の弟子で、ろうあの兄弟(グオ・タオ、リー・チン)が営む工場に原料を積んだトラックで向かい、ハハとの取引のための出荷作業を進める。翌日、ハハの漁港で取引が行われている最中に、武装警官が突入しハハを逮捕するが、工場ではろうあ兄弟たちの反撃で多くの死傷者が出、兄弟は逃げ延びる。
ジャンから疑いをかけられたテンミンは、苦し紛れに「チェンビャオはダミーにすぎない。真の黒幕は7人の香港人だ」と告げる…。
●アジコのおすすめポイント:
ジョニー・トー監督が中国資本で作り上げた最初の作品です。黒社会や警察ものを得意としてきたトー監督、今回は中国の公安を主人公に、スン・ホンレイ率いる麻薬捜査官チームによる大捕物を描きます。捜査の鍵を握るのが、麻薬を密造していたルイス・クー。死刑から逃れたいばかりに、大切な仲間たちを次々と裏切るはめに。グオ・タオ扮する工場の男や7人の香港人たちも、それぞれに人物造型がされており、間に立った男の苦悩も浮き彫りになっていきます。銃撃戦をカットしたり、あまりたくさん死なないようにしたり…と苦労や妥協はあったようですが、いえいえ、ラストを見れば、まさしくジョニー・トーの世界が炸裂しています。
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