サイレント・ウォー(聽風者/The Silent War)
story
1949年香港。ミサイル兵器の権威であるマー教授(ジェイコブ・チャン)が、海運王の御曹子クォック(ワン・シュエピン)の手配で渡米しようとしていた。クォック主催の送別会を訪れた女流作家のチョン(ジョウ・シュン)は、共産党が組織した701行動局の諜報部員200号。マーを北京へ送るため、部下と共にクォックを殺害する。
中国南部の山間地帯。チョンは老鬼と呼ばれる局長に会うために、701行動局に5年ぶりに帰還する。だが彼女を迎えた老鬼は、なんとクォックだった。彼は香港を拠点に地下活動をしており、1年前に局長に任ぜられたのだ。彼は彼女に、上海で調律師のロー・サンイー(パル・シン)を探し出すよう命じる。
701行動局の傍受局では、国民党残党の活動を調べるため、100以上の信号を傍受していたが、ある日信号が途絶え、30時間後には周波数が全て変更されていた。そこで、新たな周波数を聞き分けられる人材が必要になったのだ。チョンはローの助手で盲目のホー・ピン(トニー・レオン)の聴力が優れていることを知り、彼を連れ帰る。
1週間で無線とモールス信号をマスターしたホーは、難しい試験にも合格。チョンの助けを借りて、ついに120全部の周波数を発見する。しかし、ホーはチョンに好意を抱き始めていた。別な女性を世話係にしようとしてもホーは拒むが、散歩中に暗号局のサム・チン(メイビス・ファン)と出会い、2人は次第に親しくなっていく。
やがて、ホーは最高機密の周波数を突きとめ、微かな信号音から発信者の特徴や人柄までを推測。重慶と呼ばれる黒幕の存在が判明する。
●アジコのおすすめポイント:
12年の『大魔術師"X"のダブルトリック』に続く、トニー・レオン&ジョウ・シュン共演の香港製中国作品です。監督は名コンビのアラン・マック&フェリックス・チョン。中国のベストセラー小説「暗算」をベースに新たな物語を作り上げ、中国内戦時代の女スパイと彼女に協力した盲目の男の活躍と秘めた愛を描いています。女スパイが愛したのは上司と盲目の男。盲目の男が愛したのは女スパイと後に妻となる女性。ゆえに、2人の思いは友情へと昇華していきます。出色なのは妻になる女性を演じたメイビス・ファン。抑えた演技で、こんなにしっとりとした女性を演じられるようになったのですねえ。すっかり大人になりました。脇役で懐かしい俳優陣も出演しています。
|