桃の木 シャム双子の悲しい物語
(桃の木/The Peach Tree)
story
スンア(ナム・サンミ)は完成した絵本「桃の木」を手に、遊園地を訪れる。遊覧車に乗っていると、いつの間にか、隣りに黄色い服を着た笑顔の可愛い男の子(チョン・ユンソク)が座っていた。絵本を指差す男の子に、スンアはある物語を話して聞かせる。それは、彼女がこの本に描いた不思議な兄弟の物語だった。
大きな木を育てている若い夫婦がいた。桃のような実をつけるので、ふたりはそれを桃の木と呼んでいた。やがて妻は身ごもり、桃のような可愛い双子の赤児を授かる。だが、彼らは大きな障害を持って生まれてきた。身体が1人分しかないシャム双生児だったのだ。
母親(ソ・ヒョンジン)はショックを受け心を病んでしまう。一度は桃の木の下に赤児を埋めようとするが、父親(イ・ジュニョク)はそれを制し彼らを育てる決心をする。双子はサンヒョン、トンヒョンと名付けられ、可愛い少年に成長するが、母はやがて死んでしまう。
30年後、屋敷の中で育ったサンヒョン(チョ・スンウ)とトンヒョン(リュ・ドックァン)は、正反対の性格になっていった。小説家を夢見て文章を書くトンヒョンのために、街へ出た父(チェ・イルファ)は、遊園地で似顔絵を描いていたスンアと知り合い、出版者につてのある彼女に息子の話を本にして欲しいと頼み込む。
しばらく屋敷に住み込むことになったスンアは、トンヒョンと次第に親しくなっていくが、フードの影に隠れた孤独なサンヒョンのことをまだ知らなかった…。
●アジコのおすすめポイント:
女優業だけでなく、絵、歌、小説、映画監督とマルチな才能を発揮するク・ヘソンの長編第2作目です。シャム双生児というデリケートなテーマを、「桃の木」にまつわる童話のように仕立てた作品で、人間が持つ様々な感情や困難を暖かい目で描いていきます。この難役に挑んだのは、共に演技派として知られ、韓国では似ていると言われているチョ・スンウとリュ・ドックァン。最近ではドラマ「信義 シンイ」や「馬医」で、お茶の間ファンも増やしている2人ですが、ドラマとは違う演技も見どころ。2人のよき理解者となるナム・サンミは、どことなくク・ヘソンに似ています。エンディングで流れるのは、ミュージカルスターでもあるチョ・スンウの優しい歌声。ぜひ、劇場で味わってください。
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