惨殺のサイケデリア(追凶/Fairy Tale Killer)
story
顔に白いドーランを厚塗りした男が逮捕される。「人を殺した」という彼の証言から、警察のロウグァイ(ケン・ロー)やチーム長のホン(ラウ・チンワン)たちが被害者のチャン・ファイ(ラム・シュー)を訪ねるが、彼は生きていた。男は釈放され、報告書も適当に処理される。
ところが翌日、チャン・ファイが死体となって発見される。彼は薬で眠らされた後、腹に石を詰められて殺されていた。発見現場にはドーランの後も残っていた。昇進試験前のホンは、検死官による証拠写真を抜き取り、容疑者を釈放していたことを隠ぺいする。
ホンたちは、釈放した男ン・ソイグァン(ワン・バオチャン)の犯行と断定し、彼の部屋に乗り込むが、男は留守だった。被害者の身元調査から、チャン・ファイが精神病院の副院長だったことが判明。病院での聞き込み調査で、入院していたウォン・ユイー(エレイン・コン)という自閉症の天才画家が失踪していることがわかる。
実はホンにも自閉症の息子がおり、彼も部屋の壁や床にひたすら絵を描いていた。息子はおとぎ話を読んでくれる母親(ジョーイ・マン)にしか心を開かず、父親を恐れていた。しかし、家族で子ども向けステージを観に行った日に、ステージ上で第2の殺人事件が起こる。
ホンは息子が描く絵から、事件が「狼と七匹の小羊」という童話と関わっていることに気づく。さらに、失踪したユイーとソイグァンは、幼い頃に同じ孤児院にいた…。
●アジコのおすすめポイント:
パン・ブラザース特集の第3弾は、弟ダニー・パン監督による最新作。ダニーといえば、04年に初監督した作品はイーキン・チェン演じる双子の兄弟の災難を描いた『ひとりにして』でした。本作はそんなダニー・パンの監督5作目。主演は刑事役がすっかり定番となったラウ・チンワンと、中国のワン・バオチャン。見た目通りの素朴な人物やコミカルな役柄が多かったワン・バオチャンですが、本作では冒頭から白いドーランを滴らせ、偏質的な殺人鬼と化していく凶暴な男を演じています。(5月末公開予定の『罪の手ざわり』でもクールなスナイパーを好演)童話にまつわる殺人をモチーフに、パン・ブラザースならではのダークで猟奇的な描写は健在ですが、ラストは思いがけない展開にホロリ。冒頭に逮捕されたのは、そういうことだったのね。
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