マイ・リトル・ヒーロー
(マイ・リトル・ヒーロー/A Wonderful Moment)
story
かつてミュージカルの本場、ニューヨークで勉強していたことが自慢のユ・イルハン(キム・レウォン)。前作の失敗で落ちぶれ、今は小さな児童ミュージカル劇団の音楽監督をしている。そこへ、超大作ミュージカル「朝鮮の王」の音楽監督候補になる話が舞い込む。オーディション番組で選ばれた5人の子どもたちに音楽監督を付け、最終選考まで競わせる企画で、監督候補に欠員が出たのだ。
素晴らしい歌声の持ち主で、視聴者にも一番人気があるのはヨングァン(チ・デハン)だったが、彼はフィリピン人の母を持つ褐色の肌をした少年だった。主催者から「朝鮮の王」の主役にふさわしくないという声もあり、監督候補たちも敬遠していた。番組では歌声だけのブラインド・オーディションでペアとなる少年を選ぶことになり、ヨングァンを選んだ監督は二人。ヨングァンはイルハンを指命する。
最初は戸惑ったイルハンも、大物やかつてライバルだったジュンサン(ソン・ヨンシク)が揃った審査員の中で、自身の起死回生を賭け「一緒にブロードウェイに行こう!」とヨングァンの特訓を開始する。歌以外はまったくの素人だったヨングァンも、同じハーフ仲間の親友でマネージャーのソンジュン(ファン・ヨンヨン)に応援されながら、血のにじむようなダンスの練習を重ね、次第に上達していく。
ヨングァンを応援している番組のナPD(チョ・アン)や、イルハンのマネージャーであるカン代表(イ・ソンミン)、児童劇団でサンダーマンを演じているジョンイル(イ・グァンス)らの協力で、早々に敗退すると予想されていたヨングァンとイルハンのペアは、オーディションを勝ち進んでいくのだが…。
●アジコのおすすめポイント:
兵役から戻って来たキム・レウォンの最新作です。ドラマ「君はどの星から来たの」(06)でもこだわりが強過ぎて落ちぶれた映画監督を演じていましたが、今回はミュージカルの音楽監督。しかも、相当な見栄っ張りで傲慢な男。天使のような歌声を持つ少年にも情容赦なく、厳しい訓練を課しますが、それに必死でついて行く少年にも複雑な家庭の事情があり、後半はシリアスな展開となっていきます。そして、見栄と出世欲だけで動いていたどうしようもない男が、本物の才能のためにとった最後の決断とは? 少年を演じるチ・デハン君はスリランカと韓国のハーフ。本作への出演で、将来の夢がサッカー選手から映画俳優へと変わったのだとか。子どもたちのオーディションでは、演劇やミュージカルが盛んな韓国ならではの舞台演出シーンを楽しむことができます。
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