南風(南風)
story
東京の出版社で働く風間藍子(黒川芽以)は26歳。最近、恋人を年下の女に奪われた上、ファッション誌の編集から地味な単発企画の担当に飛ばされ、恋も仕事も崖っぷちだ。そんな彼女が、取材で台湾を訪れる。4日後に日月潭で行われるサイクリングイベントで、元プロサイクリストの植村豪(郭智博)にインタビューをするのだ。
台北に到着した藍子は、頼れる先輩の由貴さん(シュ・エイセイ)と合流。取材を手伝ってもらうつもりだったが、現地に溶け込み、台湾人と結婚した由貴さんはなんと妊娠していた。中国語も話せず、土地感もない藍子は、とりあえず自転車を借りるため、レンタサイクル屋を訪れる。
店番をしていた若者ジェンナン(ザック・ヤン)は、日本語がわからない。代わりに出てきたのは、東京に憧れる高校生のトントン(テレサ・チー)だった。モデル志望の彼女は、秘かに日本の新人モデルオーディションの記事を持っていた。場所は日月潭だ。トントンは高校生であることを隠して、藍子にガイドをかって出る。
トントンの顔が恋人を奪った女とそっくりだったので、藍子は絶対に嫌だと断るが、強引な彼女に押し切られて出発する。レンタル代をけちってママチャリを借りた藍子を、クロスバイクのトントンが追い越して行く。最初に立ち寄ったのは九イ分。藍子がカメラを構えると、トントンがモデル気取りでポーズをとった。
基隆港で宿をとり、富貴灯台へ。ぶつかってばかりいた藍子とトントンは、少しずつ心が通い始めていた。記念撮影をしていると、サイクリストの集団が通り過ぎる。イケメンを発見して追いかけるトントンの後を追った藍子は、坂道を転がって転倒する。喧嘩する二人の前に、先ほどのイケメン、ユウ(コウ・ガ)が現れた。
●アジコのおすすめポイント:
映画とマンガの同時制作というユニークなスタイルで作られた日台同時連行企画作品です。マンガ版を担当したのは、台湾でも人気の「山田太郎ものがたり」を手がけた森永あい。台湾を取材してプロットを作り、映画版の脚本も同時進行で作られ、監督と相談しながらキャラクターやロケ地を決めていったのだとか。タイトルの『南風』を思わせる、爽やかなサイクリング・ロードムービーに仕上がっています。彼らが立ち寄るのは九イ分、基隆港、富貴灯台、淡水、新北17キロサイクリングロード、永安漁港、台中、竜騰断橋跡、天后宮、鹿港・九曲巷、そして目的地の美しい日月潭。まさに、台湾の名所巡りといった風情ですが、旅の途中で芽生える友情や恋、自分探しも描かれており、1年後に登場する愛媛県しまなみ海道でのサイクリングレースにつながっています。監督は6年ぶりの新作となった萩生田宏治。トントンを演じたテレサ・チーは、『トランスフォーマー/ロストエイジ』(8/8公開予定)にも出演しています。
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