ソウォン/願い(願い/Hope)
story
町工場で働くドンフン(ソル・ギョング)は、妻ミヒ(オム・ジウォン)と8歳の娘ソウォン(イ・レ)との3人家族。娘の名前を付けた小さな文房具店も営んでいる。妊娠中の妻はママ友(ラ・ミラン)たちとの付き合いでも忙しい。
通学の朝、いつも店をのぞき込むのは、工場長の息子で同級生のヨンソク(キム・ドヨプ)。彼はソウォンのことが気になるようだ。一人で通学するソウォンを、いつも少し離れたところから見守っていた。そんなソウォンの一番のお気に入りは、テレビで人気のココモンだ。
ある雨の朝、ソウォンはいつものように一人で小学校に向かっていた。母の言い付けを守って、近道をせず学校の側まできた時、酒に酔った男に声をかけられる。その男は傘に入れてくれと頼んできた。
ドンフンに警察から連絡が入る。病院にかけつけたドンフンは、ソウォンが大変な暴行事件に遭い、身体と心に生涯消すことのできない傷を受けたことを医師から告げられる。信じ難い状況に、ドンフンとミヒは泣き崩れる。事件を知ったマスコミも病院へ殺到していた。
両親はソウォンを社会の好奇の目から守るため必死になる。病院には児童専門の心理療法士、チョンスク(キム・ヘスク)もいた。ソウォンが男である自分に怯えていることを知ったドンフンは、娘に近づくことができなくなる。
チョンスクのアドバイスで、家族や友人、看護婦たちがソウォンの大好きなココモンの番組に登場するキャラクターに化け、病室へやって来る。喜ぶソウォンを見てドンフンは一計を案じ、ココモンの古い着ぐるみを譲ってもらう。その日から、病室にココモンがこっそり現れるようになる。
●アジコのおすすめポイント:
昨年から今年にかけて、数々の賞を受賞した感動作です。国内の社会的な問題や事件を鋭く描く作品が多い韓国。本作も実在の事件をもとにしていますが、憎しみや復讐ではなく、その悲劇をどうやって乗り越えていくかにポイントを置き、被害者や家族に寄り添って、強く生きる希望を見い出していく物語となっています。監督は『王の男』のイ・ジュンイク。しばらく商業映画から遠ざかっていましたが、本作で監督復帰しました。難役に挑んだのはソル・ギョングとオム・ジウォン。共に市井の普通の父親と母親を等身大で演じ、苦悩する姿が胸を打ちます。そして、愛らしいソウォンを演じたのは、オーディションで選ばれた新人子役のイ・レ。複雑な心の変化を見事に演じ、絶賛されています。悲惨な事件が多い世の中ですが、被害者の家族を見守る人々の理解と温かさがいかに大切かがよくわかります。ゆるキャラのココモンの活躍も見逃せません。ココモンがいてよかった。
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