さまよう刃(さまよう刃/Broken)
story
織物工場で働くイ・サンヒョン(チョン・ジェヨン)は、3年前に妻を亡くし、中学生の娘スジン(イ・スビン)とふたりで暮らしている。毎日残業が続く彼は、娘とすれ違いがち。その夜も一緒にスーパーへ行く約束が守れず、翌朝、スジンは朝食も食べずむくれて登校する。
下校中に雨が降り出し、スジンは駅から父に携帯で連絡するが、今日も残業という返事。ビニール傘を買って歩くスジンの後ろから、一台の車が近づいていた。その夜、サンヒョンはみやげを買って帰宅するが、時計は11時半を回っているのにスジンは部屋におらず、帰って来なかった。
翌日、サンヒョンに警察から連絡が入る。人違いと信じて出かけると、遺体はスジンだった。廃墟となった銭湯の一室で発見されたスジンはレイプされており、死因は強力な薬物投与だった。警察は交友関係から捜査を始める。行方不明になった付近では、怪しい車の目撃証言もあった。
その日から、サンヒョンはショックで何も手がつかず、警察に通い詰める。担当のオッグァン刑事(イ・ソンミン)が家で待つよう促すが、夜になっても警察署の前にいた。その時、サンヒョンの携帯が鳴る。それは犯人の名前と証拠の在り処を教える密告メールだった。
密告したのは高校生のミンギ(チェ・サンウク)。あの日、彼は同級生のドゥシク(イ・ジュスン)とチョリョン(キム・ジヒョク)に脅され、父の車で誘拐を手伝ったのだ。たまたまスジンの携帯を持ち帰っていた彼は、共犯にされることを恐れてメールしてしまう。サンヒョンは、警察に黙って指定された家を訪れるのだが…。
●アジコのおすすめポイント:
2009年に日本でも寺尾聰主演で映画化された東野圭吾の「さまよう刃」が、韓国で新たに映画化されました。少年犯罪と被害者家族、という深遠なテーマに挑む本作。犯人と対峙した時に彼が起こした行動は、親の立場であれば、誰もが共感してしまうことでしょう。冒頭にも登場する雪の白樺林はまるで主人公の心象風景のよう。果たして復讐は罪なのか、正義なのか? 妻の反対を押し切って出演を決め、心のままに演じたのは演技派のチョン・ジェヨン。刑事役のイ・ソンミンも過去の事件で複雑な経歴を持つベテラン刑事を、抑えた演技で好演。ドラマで人気のソ・ジュニョンは父親に同情する若手刑事を演じ、深い印象を残します。日本でも年々、青少年による凶悪事件が増加している中、もしあなたが被害者の家族だったら…と考えさせられる作品です。
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