自由が丘で(自由が丘で/Hill Of Freedom)
story
韓国へ帰国したクォン(ソ・ヨンファ)は、以前勤めていた語学学校で分厚い封筒を受け取る。それは、かつての同僚で恋人だったモリ(加瀬 亮)からの手紙だった。
2年前、モリはクォンにプロポーズしたが、体調の悪かったクォンは悩んだ末に断った。その後、モリは日本へ帰国したが、また彼女に会うために韓国にやって来たのだ。モリはクォンの部屋の近くのゲストハウスに泊まり、彼女を探しながら日々の出来事を手紙に綴っていた。
ソウルに到着した日、クォンが留守だったため、モリは「自由が丘」というカフェに入る。そこは犬のいるカフェで、フレンドリーな女性オーナーのヨンソン(ムン・ソリ)がいた。日本人が好きと話すヨンソンは、片言の英語で話しかけて来た。
クォンは最初の1ページ目を読んで語学学校を後にするが、階段で立ちくらみして手紙を落としてしまう。1枚1枚拾うものの、手紙の順番はバラバラになってしまった。そして、1枚は気づかずに拾い忘れてしまう。カフェ「自由が丘」に立ち寄ったクォンは、バラバラの順番のまま手紙の続きを読み始める…。
●アジコのおすすめポイント:
ホン・サンス監督が『3人のアンヌ』PRで来日した時に、加瀬亮と対談したのがきっかけで生まれたコラボレーションです。もともとホン・サンス監督の作品が好きだったという加瀬亮。監督お馴染みの俳優陣の中に溶け込み、自由な演技を楽しんでいます。そのストーリー展開はかなりユニーク。手紙に書かれているエピソードをオムニバス映画のように紡いでいくのですが、手紙がバラバラになってしまったため時系列が前後しています。そして、1枚抜けているエピソードも。それは一体どんな展開だったのか?…そんなことも想像しながら観ていくと楽しいでしょう。これまでは、身勝手な男女が引き起こす悲喜劇の断片をユーモラスに描いてきたホン・サンス監督。本作にはハッピーエンディングも用意されており、バラバラになっているとはいえ、まとまりのある寓話のような作品に仕上がっています。
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