ハン・ゴンジュ 17歳の涙
(ハン・ゴンジュ/Han Gong-Ju)
story
音楽に支えられて生きてきた女子高生のハン・ゴンジュ(チョン・ウヒ)は、中学の時に遭った事件のせいで、転校を余儀なくされる。裁判は続いていたが、被害者であるゴンジュの家庭は崩壊。代用教員のイ先生(チョ・デヒ)が転校先を探し、先生の実家でしばらく暮らすことになる。
実家には、コンビニを経営する先生の母親(イ・ヨンナン)が一人で暮らしていた。ゴンジュが店を手伝ったことで、彼女はゴンジュを気に入り可愛がるようになる。ゴンジュは中学生の頃、コンビニでアルバイトをしていた。そこはドンユン(キム・チェヨンジュン)の父親(イム・ドンソク)の店だった…。
ゴンジュは新しい学校で、アカペラを歌う少女たちを見つめる。そこには同級生のウニ(チョン・インソン)がいた。だが、ゴンジュは水泳を習うため、スイミングクラブに入会する。それは、自分を守るための手段だった。偶然、ゴンジュの歌う声を聴いたウニは、彼女をアカペラ楽団に誘ったことがきっかけで、人探しを手伝うことになる。
ゴンジュは、事件の後で家を出たまま音信不通になった母親(ソン・ヨジン)を探していた。だが、3年ぶりに会った母は再婚しており、「もう来ないで」とゴンジュを突き放す。さらに翌日、ドンユンの父親から留守電が入っていた。あの時、不良仲間にいじめられているドンユンを家に誘ったのは、親友のファオク(キム・ソヨン)だった…。
音楽室で、ゴンジュはギターを弾きながら自作の歌を歌っていた。ウニたちがその歌声を聴き、ミンソ(ソン・スルギ)はスマホで録画した歌を芸能事務所に送る。その頃、裁判で有罪判決が出たが、親たちが控訴するとイ先生が伝えに来る。ドンユンだけが強要されたと主張していた。
●アジコのおすすめポイント:
世界で数々の作品賞を受賞した衝撃作の登場です。『トガニ 幼き瞳の告発』のように、実在の事件を扱った作品が多く作られてきた韓国。本作も密陽で起こった男子高校生による集団性暴行事件を題材にしていますが、この主人公の周りには本気で助けてくれる人が誰もいません。事件から3年経っても、被害者である主人公が追われたり隠れたりせねばならない不条理を描き、同時に弱った時の自分を救おうとする理性的で強い自分、新しく生き返りたいと願う少女の姿が描かれています。追い詰められた彼女のラストシーンには、力強い生命力を感じます。監督はこれがデビュー作のイ・スジン。撮影当時、26歳で高校生役を演じたチョン・ウヒの透明感、熱演が光り、数々の主演女優賞受賞も納得です。
|