傷だらけのふたり(男が愛する時/Man In Love)
story
海に面した地方都市・群山(クンサン)。テイル(ファン・ジョンミン)は高利貸しのテサン実業の部長として、借金取立てに勢を出していた。無謀で粗野な面もあるが、場合によっては個人貸ししたり、取り立てた金から子どもの塾の月謝分だけ返すなど、情に厚いお人好しでもあった。
ある日、昏睡状態にある男の取立てで病院を訪れたテイルは、男の娘ホジョン(ハン・ヘジン)と出会う。ベッドごと外に引きずり出そうとする手下たちを半狂乱で阻止するホジョン。仕方なく月利49%の覚書に捺印するが、テイルは心がざわついていた。40歳にして、初めて一目惚れしたのだ。
ホジョンが銀行の窓口係と知ったテイルは、退社時間に待ち伏せして一杯飲もうと誘い出す。だが、腎臓を売る話をほのめかしてホジョンを怒らせる。それでも懲りず、ホジョンの経済状態をチェックしたテイルは、自分のボーナスで彼女の借金を帳消しにして欲しいと友人でもある社長(チョン・マンシク)に交渉。元金の返済だけが残った。
テイルはホジョンの絵を描いて、その上にマス目を作り、新しい覚書を作成する。「1日に1時間、俺と会うごとにマスを1つ塗りつぶす。全部塗りつぶしたら、最初の覚書をお前にやる」ホジョンは真意が測りきれず躊躇するが、根負けして提案を受け入れる。
ふたりのぎこちないデートが始まった。頑な態度を取り続けるホジョンはなかなか心を開かず、テイルはとうとうふられてしまう。だが、ホジョンの父親が亡くなった時、斎場に駆けつけて立派な葬儀を仕切ったことがきっかけとなり、ふたりの距離は一気に縮まっていく…。
●アジコのおすすめポイント:
「見た目が荒っぽい人たちの恋愛がどういうものか」を描きたかったというハン・ドンウク監督の長編デビュー作。幅広い演技力を持つファン・ジョンミンが『ユア・マイ・サンシャイン』以来の純愛を演じています。もっとも、あの時のふっくらとした田舎青年とは真逆の、借金の取立てを生業とする粗暴な男で今回はかなりスリムな体型に。これも演技のためのためだったのかと、終盤でわかります。女遊びは知っていても、愛や恋を感じるのは初めての40男。デートしても、甘い言葉どころか怒らせるようなことばかり。でも、心根がやさしく思いやりは人一倍。同居している兄嫁や姪っこはよく知っています。いろいろおシャレをしてみたり…その変化も見どころ。そんな彼に、少しずつ惹かれていく女性をハン・ヘジンも好演しています。それにしても、オナラの音がこんなにも愛おしいものだったとは。
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