私の少女(ドヒよ/A Girl At My Door)
story
エリート警官のイ・ヨンナム(ペ・ドゥナ)は、ソウルから漁村の小さな警察署に所長として赴任してくる。問題を起こして左遷されたのだ。車で村に着いた日、ヨンナムは初めてドヒ(キム・セロン)を見かける。
村は過疎で若い働き手が少なく、村に残って外国人労働者を束ねているヨンハ(ソン・セビョク)が顔を利かせていた。村人は若い女性所長を歓迎するが、ヨンナムは馴染めず、大量に持ち込んだペットボトルに入っている焼酎で、眠れぬ夜を過ごすのだった。
そんなある日、ヨンナムは中学の同級生にいじめられているドヒを助ける。ドヒは母親に置き去りにされ、ヨンハが父親代わりになって面倒をみていたが、酒に酔ったヨンハやその母親(キム・ジング)から日常的に暴力を受けていた。
ある夜、その光景を見かけたヨンナムがヨンハを組み伏せ、パトカーを呼んでドヒを助ける。その日から、ドヒはヨンナムの後を追うようになる。そして、いつものように逃げて来たドヒがドアを叩いた日、事件が起こった。ヨンハの母親が車で崖から転落し、溺死したのだ。
ドヒがずぶ濡れになって訪ねて来た夜、お風呂に入れながら背中の無数の傷を見たヨンナムは、夏休みの間、ドヒを預かることにする。一緒に食事をしたり、買い物や海にでかけたり…穏やかな日々が続いたある日、一人の女性(チャン・ヒジン)が警察署にヨンナムを訪ねて来る。
●アジコのおすすめポイント:
韓国からまたまた、有望な新人監督の登場です。CJエンタテインメントとの共同プロジェクトに応募し、最終選考には選ばれなかったものの、その過程を見ていたイ・チャンドン監督が物語を気に入りプロデューサーとして映画化を後押し。ペ・ドゥナ、キム・セロンという理想的なキャストを得て、まさにこの二人ならではの作品として完成しています。難しい役柄ゆえに、一度は断ったというキム・セロン。結局、自分がやるしかないと観念し、体当たりで本作に挑んでいます。おそるべし、14歳。最も寂しい二人の女性が出会うという設定から発展したというこの物語。親に捨てられ、さらに肉体的虐待を受けている少女と、セクシャルマイノリティであるがゆえに社会から精神的な虐待を受けている女性。表情の変化が細かく捕らえられており、射るような二人の眼差しが印象的。ドキッとする展開もありますが、孤独な二人がお互いに必要となるまでが丁寧に描かれます。女性監督ならではの繊細な世界をご堪能ください。
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