ドラゴン危機一発'97(The New Big Boss)
story
ベン(エドモンド・リョン)は「狼」と名乗る伝説の男を探していた。恋人の制止にも耳を傾けず、インターネットを駆使し、ついに連絡に成功したベンは、指定された場所に車を走らせ、老人ワイ(ウォン・ジーワー)に迎えられる。依頼のルールは自己責任。助手の彼に案内された部屋で、年老いたその男(ドニー・イェン)は眠っていた。
彼が眠っている間、実力を疑うベンに、ワイは昔話を語りはじめる…。それは日中戦争後の時代。荒れ果てた僻地の村で暴れていた青年ワイ(ウォン・ジーワー)の前に、記憶をなくした男(ドニー・イェン)が現れた。七聖廟の場所を尋ねられ、ベンは駄賃をもらって彼を案内する。途中で山賊に襲われ大乱闘になるが、男は見事な技で男たちを撃退する。
森の奥にある七聖廟はすっかり荒れ果てていた。少年時代、幼なじみの少女をおぶって村を逃げ出した記憶が蘇る。兵隊だった彼は、ここで女と会う約束をしていたのだ。外にいたワイは、水を運んでいる少年を見つけて声をかけるが逃げてしまう。ワイは男から刀の使い方を習うことにする。
…男が目を覚ます。ベンの依頼は殺しだった。男は彼を思いとどまらせるため「私のやり方」を教えようと、自ら昔話を始める…。七聖廟に追っ手がやって来た。死闘の末、追っ手を撃退するが、男は大怪我を負い、ワイが少年の小屋へ運び込む。そこに住んでいたのは、男装していたウェイ・イー(カルメン・リー)。彼女はその男マンヒンを待って、一人で暮らしていたのだった。
●アジコのおすすめポイント:
ドニー・イェンの初監督作品『ドラゴン危機一髪'97』(97年公開当時の原題は『新唐山大兄/The New Big Boss』ですが、香港での原題は『戦狼傅説/Legend Of The Wolf』となっています)が、デジタルリマスターで蘇りました。まだ若いツルツルお肌のドニー・イェンが、怒濤の組手や、クルクルと交互に蹴り出す足技など、キレのいいアクションを次々と見せてくれます。執拗に彼を追う敵のボス役はベン・ラム。子分たちの中には、今やアクション監督として有名な盟友、谷垣健児さんの姿も。アクションもさることながら、戦争、記憶喪失、運命の恋人…と、今になってみると韓国ドラマ風なキーワードも盛り込んだストーリー展開も見どころ。恋人と再会し、広い原っぱに座って清々しい笑顔を浮かべるドニーも素敵です。美しいカルメン・リーとのラブシーンもあり。そんな二人の過酷な運命を、年老いた狼が昔語りをして青年を諭すというスタイルにしたのが、いかにもアクションだけでない映画好きのドニーさんらしいかも。シネマート六本木の特別ラスト興行に選ばれた本作。ぜひ、劇場の大きなスクリーンでご堪能ください。
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