チャルラータ(Charulata)
story
1880年のカルカッタ。若く美しい妻チャルラータ(マドビ・ムカージー)は、新聞社の編集長であり社長でもあるブパチ(ショイレン・ムカージー)を夫にもち、何ひとつ不自由ない生活を送っていた。
しかし、年中忙しい夫は、ほとんど妻の相手をしようとしない。し方なく、チャルラータは日がな刺繍をしたり、小説を読んだりして寂しい毎日を過ごしていた。屋敷の外から聞こえる物売りのベルの音。チャルラータは双眼鏡で外の様子を眺め、無邪気な好奇心を紛らわせる。
そんなある日、チャルラータの兄ウマパダ(シャモル・ゴーサル)が妻のマンダキニ()を連れて屋敷へやって来る。弁護士を辞め、カルカッタで仕事を探していたウマパダを、ブパチが経理係として雇ったのだ。それは、孤独なチャルラータを思ってのことだった。
チャルラータの毎日に、明るくて陽気なマンダキニが加わったが、女たちの退屈な生活は変わらなかった。そこへ今度は、ブパチの従弟アマル(ショウミットロ・チャタージ)が大学の休暇で訪ねて来る。文学に詳しい自由人のアマル。プパチは読書好きなチャルラータの文才をそれとなく探るため、アマルに詩の手ほどきをさせる。
アマルの挑発にのって詩を書き始めたチャルラータは、すぐに才能を開花させ、彼を出し抜こうとして投稿した詩が雑誌に掲載される。同時に、チャルラータの中にはアマルへの熱い思いが芽生えていた…。
●アジコのおすすめポイント:
インドの偉大なる映画監督、サタジット・レイ(1921-1992)の監督デビュー60周年を記念した特集上映「シーズン・オブ・レイ」(9/12-10/9)にて、中期の代表作2本がデジタルリマスターにて上映されます。サタジット・レイといえば、映画監督だけでなく、小説家、音楽家、グラフィックデザイナーなど、多彩な活躍をした才人。映画作家としても、日本で知られているリアリズム作品だけでなく、ミュージカル、ファンタジー、SF、ドキュメンタリーと幅広いジャンルを手がけ、晩年にはアカデミー賞特別栄誉賞を受賞しています。そんなサタジット・レイ監督が自身の最高傑作と語っているのが本作。文豪タゴールの小説を脚色し、音楽も手がけています。大邸宅に暮らす美しい夫人チャルラータが、詩を書くことで自我に目覚め、従順な妻から情熱的な女へと変貌していく様と、それによって苦悩する二人の男たちのドラマを、時代背景と共にお楽しみください。
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